作品情報 2013年日本映画 監督:山田洋次 出演: 松たか子、黒木華、吉岡秀隆 上映時間:136分 評価★★★(五段階)鑑賞場所TOHOシネマズららぽーと横浜 鑑賞日2月11日 2014年劇場鑑賞17本目
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【ストーリー】
現代。大学生の健児(妻夫木聡)は、「おばあちゃん」と慕っていた大叔母のタキ(倍賞千恵子)の遺品からあるものを見つける。タキは自叙伝を書いており、健児はそれを読みながら感想をいうのを楽しみにしていた。
昭和6年、山形の田舎から上京したタキ(黒木華)は、縁あっておもちゃ会社専務の平井家の女中にある。平井家は田園調布の高台にたつ赤い屋根のモダンな家だった。主人の雅樹(片岡孝太郎)は仕事に忙しく、若い妻の時子(松たか子)は笑顔をたやさない、やさしい人だった。ある日、雅樹の会社の新入社員、板倉(吉岡秀隆)が家に来る。美術学校出身で子供好きの板倉に、平井家の一人息子・恭一(秋山聡)はすぐになつき、タキや時子とも仲良しになった。しかし、それは平井家を襲う嵐の前触れでもあった。
【感想】
山田監督が意図してかどうか分からないけれど、冒頭の現代編で、妻夫木や妻夫木の姉の夏川結衣が、朗読というのか棒読みに近い感じでセリフを読み上げていったのがえらい気になりました。年老いたタキへ、ゆっくりと話しかけようという意図なのかもしれませんが、かなりの違和感。
一方、過去パートでは、地味な顔立ちの黒木が女中という控えめな役で狂言回しを似合うにはぴったり。歌舞伎界出身の松たか子と片岡孝太郎が当時の中の上の家庭というのを見事に再現させます。特に松のおっとりしたしゃべりかた、片岡ののっぺりした顔立ちは、タイムスリップしたかのよう。この3人に吉岡秀隆、社長役のラサール石井からは昭和テイストが香り立ち、現在との対比がくっきりでました。
一番おもしろかったのが、当時の中の上の家庭では今と変わりないような生活をしていたことです。もちろん、テレビやパソコンはありませんが、ビールやカルピスを飲んだり、洋装してデパートに買い物に出かけたり。「あの時代は暗い時代だったのに、そんな明るかったわけない」という健児の突っ込みに、タキが違うときっぱりいうのは、あの時代をわずかにでも知っている山田監督ならではの描き方でしょう。ただ、その特徴を際立たせるためか、健児が一方的に戦前を否定するのは、ちょっといらつきました。
劇の中心のラブストーリーと、タキのある秘密については、想定内の物語。もう松たか子が、よろめきドラマみたいなのの主演をする年になったのか、というのはちょっと感慨深いかも。しかし、時子の心理描写が通り一遍だったのと、現代編の健児のラストの行動も正直納得がいかず、なんか物語りの上で、登場人物が演技をさせられている気がして、なかに入り込めませんでした。別に昭和のラブストーリーだからといって、内容まで古めかしくする必要もないのに。吉岡も重要な役なのに、心の動きがわかりにくい。タキの描写もねえ。もう少しはっきりとすればなあ。
倍賞の泣き演技も今ひとつ。せっかく、松、黒木といった山田映画では初顔が登場しているので、吉岡、倍賞あたりも別の俳優で見てみたかった気がしてなりませんでした。空襲の特撮は、こういう作品にはこういう撮り方があっているなあと素直に思えました。
山田監督は「東京家族」が今年の日本アカデミー賞の候補になるなど、年配になっても積極的にメガホンをとっているのはすごいと思います。
【2014年に見た映画の最新記事】
いつもTBありがとうございますm(__)m
黒木華さん、ベルリン映画祭の主演女優賞受賞、良かったですね!
僕は彼女の出た映画の中では、一番良かった作品だと思いました。
平成生れの彼女、ちょっぴり昭和の匂いがしました(笑)
山田監督の「割烹着が一番似合う」コメントはマストマッチでした^^
ニュースで見ましたが、ベルリンの着物姿の黒木さんも、
いかにも昭和の日本の女性という感じでした。
新しい山田組のメンバーとなって、次回以降も加わるのかなあ。
朝ドラでは、意地悪な役だったので、今回でようやく本領発揮の
ような気がしました。
>せっかく、松、黒木といった山田映画では初顔が登場しているので、吉岡、倍賞あたりも別の俳優で見てみたかった
全くもって同じ感想です。
これは黒木さんの嵌り具合で魅せた作品だったと思いますね。
ベルリンでの彼女も頬が紅潮してて可愛かったです♪
これまでの山田組だったら蒼井優が登場しても不思議ではなかったけど
年齢的にオーディションで新顔を抜擢し、黒木さんが山田監督の狙い
通りうまくはまったのでしょうね。これからの活躍がたのしみです