作品情報 2013年韓国映画 監督:パク・フンジョン 出演: イ・ジョンジェ、チェ・ミンシク、ファン・ジョンミン 上映時間:134分 評価★★★★(五段階)鑑賞場所シネマート新宿 鑑賞日2月19日 2014年劇場鑑賞26本目

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【ストーリー】
韓国最大の暴力団、ゴールドムーンの会長(イ・ギョンヨン)が交通事故で死亡し、幹部のうち、武闘派のチョン(ファン・ジョンミン)と経済派のジュング(パク・ソンウン)の間で跡目争いが勃発した。ソウル警察のカン捜査企画課長(チェ・ミンシク)は、跡目争いに介入する「新世界」プロジェクトを発動する。
チョンの右腕で、チョン一派の中では随一の頭脳は、ジャソン(イ・ジョンジェ)は、実は潜入警察官だった。新人警官だったときにカンの密命をうけ、8年も組織に潜り込み、ついに幹部になっていたのだ。カンはジャソンに次々に指令を出すが、最終目的は明かさない。一方、長年のつきあいのうちに義兄弟の契りをかわしたチョンを裏切ることは、ジャソンにとって大きなプレッシャーになっていた。折から、組織に裏切り者がいることがわかり…
【感想】
中盤まで、香港映画の名作「インファナル・アフェア」を彷彿とさせ、どこかで見たような感じも受け、正直「インファナル」を見ていなかったらもっと高評価になったのに、惜しいなあという感じでした。しかし、物語が動き出したら、俄然、面白くなっていました。裏切りの連続に加えて、警察のほうがヤクザよりもはるかにあくどい動きをして、最後までだれが生き残り、どう転ぶかがみえない。
なんと言っても、チョンとジュングの存在が面白い。エピローグでジャソンとチョンの若い頃のエピソードが流れるけど、この二人の友情、絆というのは、警察とヤクザという敵対組織にいるだけに、渋く、苦みがある。チョンがジュングの車にひかれそうになったときに、無意識にチョンの前に盾となったのをみても、どれだけ2人の信頼が厚いかが見て取れます。クライマックスで渡された物(物質のほう)は、悪人だらけの映画のなかでも唯一まばゆくみえました。最初は馬鹿な武闘派にしかみえなかったチョンがどんどん魅力的に思えてきました。また、ジュングも、薄っぺらい悪役にとどまらず、冷酷なだけどカリスマにあふれ、さすがは暴力組織の頂点をうかがう男。
また、ジャソンとカンが擬似的な親子関係になっているというのも、この手の映画の王道ですが、韓国を代表する名優、チェ・ミンシクが演じているだけあって、素晴らしい。人倫にもとるとわかっていても、ヤクザ組織をつぶすために、息子同然のジャソンに死ねといわんばかりの指令を出す。ジャソンの精神がちょっとずつ追い詰められているのがわかっているのに、指令を出すカンもつらいよなあ、と同情しました。一方で、ジャソンの方も蜘蛛の巣に絡め取られた虫のように 進むも地獄、引くも地獄という焦燥が良く現れています。イ・ジョンジェはここのところ「10人の泥棒たち」「ハウスメイド」と軽めの役が多かったので、ハードボイルド復帰はうれしいところ。
主要登場人物のヤクザ3人にカンも含めて登場人物が出世や権力といったものを求めつつも、その結果が破滅にしかならないことを分かりつつ、対決の場に赴くという、滅びの美学がまた素晴らしい。男にしかわからない男の美学を描ききっていると思ったら、監督が女性でしかも初メガホンと知り、二度びっくりしました。
ただ、冷静に感じると、なんでいつも刃物や鉄パイプで殴り合うのかとか、新人警官といっても警察学校同期の連中は顔を覚えているだろうとか、突っ込みどころもいくつか。そういうえば、ジャソンの奥さんは正体をしっていたのでしょうかね。
なんと言っても潜入モノなら
ハリウッドリメイクもされましたね
【2014年に見た映画の最新記事】
ジョンジェとチョン・チョンの関係は良かったですね。ラスト近くに
「そう来たか!」という展開になりますし。
チェ・ミンシクの存在感は相変わらずですね。
パク・フンジョン監督って女性なんですか!?パンフレットの写真だと
どお〜見ても男性なのですが…(^^;)
コメントありがとうございます。
このあと、アメリカ、日本の潜入映画を連続してみたのですが
新しき世界が頭一つ抜けていました。
サスペンス映画では韓国映画が世界でもトップクラスでは
ないでしょうか。
尾崎さんお勧めの「悪いやつら」は昨年見逃しているので、
DVDでチェックしたいと思います。
コメントありがとうございます。
そうそう、石井なんとかに似てました!
チェミンシクが出てる作品にはずれなしだと思ってます
今回も面白かった♪
は私は去年のベスト10に入れましたので
おすすめですぜひ。
悪いやつら、見たらまた感想をアップしたいと思います。
パク監督はキャスリン・ビグローに次いで世界で二番目に漢らしい映画監督に認定します。
ドス、金属バット、鉄パイプは韓国ヤクザ映画のお約束ですね。
あとドロップキック(笑
世界で二番目に漢らしい監督って、本人聞いたら喜ぶのでは(笑)。
日本の女性監督も、恋愛映画ばかりでなく、こういう作品を
作ってほしいものです。
DVDで見直してみたところ、カン課長がジャソンの監視のためにつけたという事のようです。すべてが仕組まれていたわけですね