2014年03月13日

アーティスト

 フランス映画として、史上初めてアカデミー作品賞になった本作。白黒で基本的には無声映画ということがあり、どんなに小難しい映画と思いきや、小粋なラブコメで、日本人がみても十分楽しめる作品でした。

 作品情報 2011年フランス映画 監督:デビッド・O・ラッセル 出演: ジャン・デュジャルダン、ベレニス・ベジョ 上映時間:101分 評価★★★★(五段階)  2014年DVD鑑賞9本目

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 【ストーリー】
 1920年代のハリウッド。無声映画のスター、ジョージ・ヴァレンティン(ジャン・デュジャルダン)は、満員の映画館から出たところで女優志望の女性ペピー・ミラー(ベレニス・ベジョ)とぶつかる。怒らず、にっこりとしたジョージの頬に、ペピーは思わずキス。その様子が新聞に乗ってしまう。

 エキストラとしてジョージの作品に出演したペピーに、彼は優しく演技指導する。これでペピーは彼に尊敬と恋慕の情を抱くようになるが、スターとエキストラでは身分の差がありすぎ、何も出来なかった。しかし、時代はトーキーになり、しゃべりの下手なジョージは没落していく。一方、ペピーはスターへの階段を駆け上っていく。やがて…
 【感想】
 一見すると、白黒映画に当時のハリウッドを再現させた技術はすごいものの、ストーリーは典型的なものに思えます。しかし、トーキーになり没落してしまったジョージの悲哀というのは、IT化の進展や金融資本主義で貧富の差が拡大し、多くの中産階級が没落している欧米の現状を暗示しているといえるでしょう。ハリウッドでも多くのベテラン監督、俳優、スタッフが時代の波についていけずに没落しています。そうした彼らからすれば、自分たちの傷をやさしくなめてくれますし、観客にとってもそうでしょう。古き良き時代は懐かしいけど、新しい時代を生きるには前を向いていかなければならない、そんなメッセージが伝わってきます。

 特に、ペピーや、ジョージの執事(ジェームズ・クロムウェル)が、彼のことを愛おしくたまらなく思っている様子は、家族や職場での人間関係がドライになり、壊れやすくなっている現在からすればうらやましい限り。こうしたやさしい関係が壊れないというのも、どんなに世界が変わっても、大切な思いは普遍という象徴でしょうか。ノスタルジーをかきたてるとともに、底辺にメッセージをのせるなんて、小粋な作品だと感心します。

 また、白黒のサイレント映画という古びた技法を使いつつも、現在の観客を飽きさせないようにする工夫も感じられます。たとえば、迫り来るトーキーの時代に不安を感じるジョージが、夢をみると、その中では声が聞こえて、ジョージを余計に不安にさせます。また、ジョージの愛犬が随所で活躍するというのも、物語のよいアクセントになっています。

 また、劇中劇も、ほんのワンシーン、ツーシーンしかないのに、ぜひ見てみたくなるような作りになっているなど、一見シンプルな構成だけど、細部までこだわっている贅沢な作品に、ただただ、ため息をつくばかりです。

 ジャン・デュジャルダンもベレニス・ベジョも初めてみる俳優でしたが、フランスのスターなのに、1920年代のアメリカのスターを違和感なく演じていて、びっくり。とくに、ポスターにもなっている2人でタップを踊るシーンは、この時代の数十年あとのアメリカのミュージカルにも敬意を表しているみたいで、年配の会員が多いアカデミー会員から高く評価されたのも、むべなるかな。

posted by 映画好きパパ at 07:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | 2014年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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