2014年03月30日

ダラス・バイヤーズ・クラブ

 実話が元だけに派手さはなく、見ているうちは気づかなかったけど、思い返してみれば心にひっかかる映画でした。なんといっても、アカデミー主演、助演男優賞コンビのマシュー・マコノヒーとジャレッド・レトの演技が大きいなあ。

 作品情報 2013年アメリカ映画 監督:ジャン=マルク・ヴァレ 出演:マシュー・マコノヒー、ジャレッド・レト、ジェニファー・ガーナー 上映時間:117分 評価★★★★★(五段階) 鑑賞場所ヒューマントラストシネマ有楽町 鑑賞日3月19日 2014年劇場鑑賞46本目



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 【ストーリー】
 1985年テキサス州ダラス。電気技師のロン(マシュー・マコノヒー)は酒と女とロデオをこよなく愛し、カーボーイをきどるタフガイだった。ところが、事故で入院した彼は、エイズにかかっており、余命30日と宣告される。当時、エイズはゲイや薬物中毒者の病気との偏見があり、受け入れられなかったロンだが、何とか助かりたいと必死で勉強した。すると、エイズの特効薬として開発された薬が、アメリカでは治験中として、認可されていないことを知る。

 メキシコで特効薬を手に入れたロンは、治療費を稼ぐために、ダラスに薬物を大量に密輸し、他のエイズ患者に売りさばく「ダラス・バイヤーズ・クラブ」を設立する。病院で同室だったゲイのレイヨン(ジャレッド・レト)の協力を得て、多くの患者に売りさばくが、警察やFDA(食品医薬品局)は、ロンの行為は犯罪だと摘発しようとする。
 【感想】
 カーボーイという男文化のなかで、ゲイをさげすんでいたロン。しかし、自分がエイズにかかったとき、昔の仲間はみな彼を見捨てたのに対して、彼が嫌っていたレイヨンたちゲイの人間たちは同じ病人仲間として受け入れてくれた。聖書の良きサマリヤ人の逸話でないけれど、人間、どん底に陥ったときにこそ真価がわかるものです。

 もともと、ロンは根っこの部分では善人であることは、工事現場で労災にあった外国人労働者を助けようとしているシーンでほのめかされています。しかし、周囲のマッチョ文化にうずもれてしまい、彼の美質というのはでてこなかった。薬の密輸も最初は自分の治療費を稼ぐためで、金を払えない患者には「慈善ではない」と追っ払った。女装のオカマのレイヨンに対しても、さんざん馬鹿にします。

 しかし、FDAをはじめ、国が自分たち患者のことを、数字としかみておらず、一人ひとりの人間としてみていないことを知り、彼の心に火がつきました。個人をないがしろにするものはだれであろうと許さない、本来カーボーイのようなマッチョな魅力はそこにあり、今までの自分がうわべだけ装っていたことに気づいたわけですね。レイヨンを馬鹿にしたかつてのカーボーイ仲間に、痛烈なしっぺ返しをする場面が象徴的でした。

 彼が日本を含めて世界中からあの手この手で密輸を図るところはピカレスクロマンみたいでテンポ良く楽しめます。なぜ、岡山なのに渋谷のツタヤがあるのか、という突っ込みどころもありますし。また、メキシコの研究所で、虫が彼の体を取り囲むというのは象徴的。副作用もある強い治療薬を飲み続けて、体内物質がおかしくなったからでしょうけど、神話の中の登場人物のような神々しさすら、みえました。

 終盤、ロンが主治医のイブ(ジェニファー・ガーナー)に自分の人生の意味はなんだったのか問いかけるシーンがあります。あくまでも映画の観客でしかない自分がいうのもおこがましいのですが、自らの命を顧みず、多くのエイズ患者の延命につくし、国家という巨大な相手にあの手この手で戦った彼の人生こそ、偉人というのにふさわしいもの。しかも、女好き、酒好き、お金が好きと、人間らしさにあふれており、煩悩にまみれた人間だからこそ、彼の行為が崇高にみえてなりませんでした。彼の大好きなロデオのように、必死で人生にしがみつくことの大切さが伝わってきました。
 
posted by 映画好きパパ at 07:01 | Comment(0) | TrackBack(3) | 2014年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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