矢口史靖監督のゆるーいコメディ。もともとウォーターボーイズ、スウィングガールズなどウェルメイドなところがあった監督ですが、今回のロボットも含めて、意表をついた素材できっちりまとめてくれる手堅さはさすが。でも、突き抜けた面白さというのは感じられないんですよねえ。
作品情報 2011年日本映画 監督:矢口史靖 出演:五十嵐信次郎、 吉高由里子、濱田岳 上映時間111分 評価★★★(五段階) 2014年DVD鑑賞14本目

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【ストーリー】
家電メーカー、木村電器の窓際社員小林(濱田岳)ら3人組は、社長(小野武彦)から経験もないのに、二足歩行ロボット「ニュー潮風」を作れと命じられる。お披露目となるロボット博覧会の1週間前になっても完成のめどがたたず、ついに、ロボットのなかに人間を入れてごまかすことにする。
オーディションで合格したのは、一人暮らしの孤独な老人、鈴木(五十嵐信次郎)。何とかばれずにすみそうだったが、倒れてきた柱から見物人の女子大生葉子(吉高由里子)を救ったため、最新鋭の性能で人命を救ったスーパーロボットとしてメディアの寵児に。着ぐるみとはいいだせないまま、ニュー潮風の人気は高まる一方。ロボットオタクだった葉子も、ニュー潮風の熱烈な追っかけとなったのだが…
【感想】
ロボットの中にじーさん、でロボジーとは非常にユニークな組み合わせ。しかも、このじーさんが頑固で偏屈で、小林たちがおたおたする様子が、笑いを誘います。でも、悪人ではないので、家族に相手にされず、友人もいない寂しさをこらえたり、有名にしてくれた小林たちへの感謝を忘れないというのがほろっときます。
この小林役は新人俳優の五十嵐信次郎ですが、実は数多くのドラマや映画に出演しているミッキー・カーチス。ロボジーでミッキー・カーチス主演だと、アメリカのB級映画と思われそうなので、日本の芸名をつけたという、人を食ったような理由ですね。そのこともこの映画をよくあらわしていると思います。良かったのがロボットオタク役の吉高由里子。実は彼女は芸域が広く、この映画では天然のコメディエンヌぶりを見せてくれます。
ストーリーも非常にウエルメイドですが、終盤のたたみかけはちゃんとひねってあり、ケラケラ笑いながら楽しめました。しかも、大落ちでストンと落とすとはねえ。コメディとしては合格ではないでしょうか。日本の現役ロボットも友情出演的にいっぱいでてきましたし。そもそも、日本でロボット工学、特に人型の研究が進んでいるのは、手塚治虫、藤子不二夫らの漫画、アニメが大きな役割を果たしているといわれます。この映画をみて、ロボットに興味をもつ中高生がいれば、日本のロボット工学も明るいのではないでしょうか(笑)
ただ、突き抜けた爽快感というのが足りないのも事実。日本ではそういったコメディが少ないだけに、矢口監督には期待しているのですが。まもなく公開される新作「WOOD JOB! 〜神去なあなあ日常」はどうなるでしょうか。
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