作品情報 2014年日本映画 監督:矢口史靖 出演: 染谷将太、長澤まさみ、伊藤英明 上映時間:116分 評価★★★(五段階)鑑賞場所:TOHOシネマズ渋谷、鑑賞日5月12日 2014年劇場鑑賞66本目
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【ストーリー】
大学受験に失敗し、彼女にも振られた勇気(染谷将太)は、当てもないままふらふらしていた。ふと目にした林業研修プログラムのパンフレットの表紙に美女(長澤まさみ)が映っているのを見て、思わず研修に申し込んでします。
研修が行われた三重県神去村はケータイの電波も届かず、コンビニもないど田舎。そこで超体育会系のスパルタな先輩飯田(伊藤英明)の家に住み込まされ、毎日、しごきを受けながら暮らしていく。最初は過酷な林業の現場にへきえきとしていたのだが、やがて…
【感想】
三浦しをんの原作は読んでおり、ラストの幻想的な描写をどうするのか楽しみにしていましたが、その部分はばさっと改変されていました。残念。さて、都会で生きる目標もなくだらだらとした青年が、ド田舎の自然や人情と触れ合ううちに、活力にみちてくる、というお話は私が嫌いなパターンです。好きな矢口監督が嫌いなパターンの映画を撮ったらどうなるのかというのも事前の楽しみだったのだけど、やはり矢口監督の手馴れた作風は見やすい一方、物語の根幹には賛同できなかったので、個人的には可もなく不可もなくの映画になってしまいました。
もちろん、エコ万歳ではなく、柄本明演じる近所の嫌味なじいさんなど閉鎖的な状況も明らかにしていますし、ヒルや虫など都会人の苦手なものもでてきます。しかし、普段は林業のことを考えない自分たちが映画をみて林業の大切さを知るというのは、作中で馬鹿にされる都会人の学生たちと、なんら代わりがないわけです。従って、エコ万歳で映画を作れば都会人はだれも反対しないよなあ、とシニカルな見方もしました。
その一方で、林業のシーンの迫力は大画面スクリーンならではのもの。これだけの巨木を切るシーンをどうやって撮影したのか、CGをどう使ったのか興味を示せる部分はあります。特にクライマックスは、地元エキストラも含めて、こういう絵がみられるのは、映画の醍醐味という気がしました。
また、伊藤英明が海猿ならぬ山猿としてぴったりだったほか、染谷、長澤ともナチュラルに思える演技で、勇気の成長ぶりをうまく演じてました。子役のいかにも演技していますといういいまわしが田舎の素朴さを表しているとも思え、役者陣への演出はお見事でした。ユーモアのセンスもさすがの矢口監督ですし、エコ映画が苦手でなければ、楽しめる作品ではないでしょうか。なお、エンディングロール後のエピソードは見逃さないでください。
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