作品情報 2014年日本映画 監督:山口雅俊 出演:山田孝之、綾野剛、菅田将暉 上映時間:133分 評価★★★★(五段階)鑑賞場所:TOHOシネマズららぽーと横浜、鑑賞日5月21日 2014年劇場鑑賞74本目
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【ストーリー】
10日で5割の利子をとる闇金カウカウファイナンスの社長丑嶋(山田孝之)は、債務者から容赦なく取り立て、自分を裏切ったものには残酷な制裁を加える業界でも名をとどろかせていた。
ある日、暴走族のリーダー愛沢(中尾明慶)が、自分のバイクを壊したヤンキーのマサル(菅田将暉)に200万円を借りさせようとする。命乞いして、丑嶋のもとで働きたいというマサルを見習いとして取り立てた丑嶋だが、残酷な試練を彼に課す。一方、高校中退のフリーター、彩香(門脇麦)はゲームセンターで知り合った新人ホストのレイ(窪田正孝)にはまり、丑嶋のところに借金にくる。
【感想】
闇金からの借金は絶対にやめましょう。この映画を高校生や大学生に見せれば、教科書を読ませるよりもよほど金融教育に役立つと思います。丑嶋は何のためらいもなく、借金の取立てを邪魔するものの頭にバットでフルスイングをかまします。武闘派だけでなく、悪知恵もまわり、人間観察力はただものでなく、自分の障害になるものは適格に排除していく。
それでいて、部下(やべきょうすけ、崎本大海)からの信頼はあつく、幼馴染の情報屋戌亥(綾野剛)ともうまく関係を保っている。特に、警察の手入れの可能性があると察知した丑嶋がとった対策は、リスク管理としてすばらしいうえ、普段の部下との関係がよくわかるシーンでした。そうしたヒール(悪役)としての魅力はたまりません。普段の2枚目をかなぐりすてた山田孝之はまさにはまり役。
その一方で、金に踊らされる哀れな人々も、みな愚かかずるい。ギャンブルに狂ったり、身分不相応な生活をしようとして、自滅していくのは同情すらできませんが、自分がそうならないと言い切れないのが怖い。物語では5円玉が効果的に使われていますが、最初はバイト先のファミレスでまじめに働き、客の落とした5円玉を拾ってあげた彩香が、ホストに狂うと、そんなはした金に関心を向けなくなったというのが象徴です。お金を馬鹿にするものはお金に復讐される、そんなことを思いました。
ライバルの闇金業者役の高橋メリージェーンが美人すぎて、アブノーマルな金融屋をやるにはちょっとミスキャストかなと思いましたが(食事シーンは良かった)、それ以外の脇役もすばらしい。ある意味丑嶋以上に主役ともいえる愛沢を中尾明慶が渾身の演技。ちっぽけでチンケなやつが、内心自分でもおかしいと思いつつも破滅していく様子が手に取るように判りました。小物の演技では最適ではないでしょうか。出番は少ないけれど、愛沢の妻役の木南晴夏もぶっとんでいて、さすがの迫力。
また、もう一つのストーリーの主役コンビ、菅田は何も考えていないヤンキー、門脇もさえない少女がホスト狂いで風俗に落ちていくというのがリアルに感じられましたが、驚いたのが、ストーカー役の柳楽優弥。「クローズEXPLODE」でも見たばかりなのに、全然、彼だとわかりませんでした。役者の演技って本当にすごい。
なお、エンドクレジットもみもので、なんと弁護士会の闇金対策窓口の電話番号が紹介されています。闇金に苦しんでいる人はさすがに映画館にこないでしょうが、こうやって口コミになることを期待しているのかも。また、クレジット後のワンシーンもにやりとさせるもの。このまま、シリーズを続けてもらいたいと思える数少ない邦画です。
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