作品情報 2014年日本映画 監督:中島哲也 出演:役所広司、 小松菜奈、オダギリジョー 上映時間:118分 評価★★★★(五段階) 鑑賞場所:TOHOシネマズ川崎、鑑賞日7月1日 2014年劇場鑑賞107本目

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【ストーリー】
元刑事だが、ろくでなしで職も家庭も失い、今は警備員をしている藤島(役所広司)は、コンビニの3人殺人事件の第一発見者となり、後輩刑事の浅井(妻夫木聡)から事情聴取を受けていた。そこへ元妻の桐子(黒沢あすか)から久々に連絡が入る。高校生の娘の加奈子(小松菜奈)が何日も家に帰っていないというのだ。
藤島は加奈子の行方を捜すうちに、優等生とばかり思っていた娘の裏の顔をしっていく。さらに、次々に起きる殺人事件。一方、3年前、いじめられっこだったボク(清水尋也)は、加奈子こそがこの地上でただ一つの美しい生き物だと信じていた。そこへ…
【感想】
登場人物に誰一人まともな人間がいない、というか大半の登場人物が狂っており、ノンストップで話が進みます。しかも、藤島の行く先々で死体の山。そのうえ、藤島がゾンビのように何度殺されそうになっても、ぴんぴんしているのですから、もう、リアリティとは別に、ハイテンションを楽しむ映画と割り切るしかありません。ただ、終盤はちょっと長すぎる気もしましたが。
さらに、意図的に藤島に感情移入ができないようなつくりにしています。自動車CMや住宅のCMで人気を呼んでいるのを承知のうえで、藤島に自動車で次々と人をはねさせたり、住宅CMに出てくるような理想の家族を反吐の出る対象としていることからみても、中島監督と役所はあえて視聴者に嫌がらせをしているのかもしれません。90年代前半のVシネマ時代を彷彿とさせるように、本能の赴くままに暴れまわる役所は楽しかったでしょうね。
警察は腐敗しきっているうえに、なぜか藤島を野放しにしているし、加奈子自体も、キャッチコピーのようにサイコパスのように描かれており、登場人物の心理を理解しろというのは意味がないでしょう。とにかく主役級の役者が次から次へと狂った演技をしているのが見せ場でしょうか。まあ、妻夫木やオダギリの狂気の悪人は何度か見ていますが、飴玉をなめ、ニヤケながらの妻夫木の嫌らしさもつぼに入りました。
女性陣では、二階堂ふみが、「私の男」とはまったくベクトルが違いながらも、やはり精神的に逝っちゃった演技をしているのも見所。橋本愛のキレッキレの熱演もかわいい。小松は悪くはないけれど、突き抜けた感じがないのが残念かも。そういえば、中谷美紀は、中島作品にはもう出演しないといっていたのに、しっかりでてましたね。
告白のようにストーリー性があればまだしも、とにかく、血とドラッグが流れまくったうえ、よく18禁にならないという描写の数々。そのものをみせていないことと、やばそうなことは妄想ともとれるようにしているからかもしれませんが、こんな狂ったような映画を高校生に割引でみせようというのは、配給会社もどこか逝っちゃってるのかもしれません。もっとも、僕のすぐそばで見ていた女子高生3人組みは、思いきり楽しんでいたようですが。大多数が嫌悪で、少数が中毒になりそうな映画で、僕は帰ってからでんぱ組のPVを聞きまくってます。
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