2014年07月20日

観相師

 韓国の有名な史実の裏に実は…という物語。韓国史を知らない分、結末がどうなるのか、ハラハラしながら、最後まで緊張してみました。ソン・ガンホはやはり、こういう役が似合いますね。

 作品情報 2013年韓国映画 監督:ハン・ジェリム 出演:ソン・ガンホ、イ・ジョンジェ、イ・ジョンソク 上映時間:139分 評価★★★★(五段階) 鑑賞場所:シネマート新宿、鑑賞日7月15日 2013年劇場鑑賞120本目



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 【ストーリー】
 15世紀の朝鮮。漁村で貧しい生活をしていたネギョン(ソン・ガンホ)は人相を見ただけで、その人の運命をあててしまう天才的な観相師だった。金儲けをたくらむ都の芸妓ヨノン(キム・ヘス)に騙され、彼女の料亭で占いをするはめに。そんな父に反発して、一人息子のジニョン(イ・ジョンソク)は官吏になる試験を受けるため、家を飛び出してしまう。

 ところが、ネギョンの観相術があまりにもあたり、ついには殺人事件の犯人も見破ってしまったことから、都中の注目を浴びてしまう。おりしも、国王(キム・テウ)は病弱で、幼い皇太子(チェ・サンウ)派の左議政(副首相)のジョンソ(ペク・ユンシク)と、野心家の王の弟、首陽大君(イ・ジョンジェ)の過酷な権力闘争が起きていた。ネギョンは国王から、皇太子を守り、誰が謀反の相を持っているか調べるようにと密名を受ける。

 【感想】
 ハードな陰謀が相次ぐ、大人の男たちのドラマ。漁村ではだらけて、都にあがってもおのぼりさんで、芸妓に囲まれてにやけていたネギョンが、陰謀を打ち払おうとするたびに、きりりとした顔つきになっていくのは、さすが名優・ソン・ガンホ。終盤に至るまでの彼の演技を見ているだけでも大満足。

 そのうえ、悪役から二枚目まで何でもこなせるイ・ジョンジュが相手となるのだから、本当に見ごたえがあります。金儲けに利用しつつも、ネギョンを心配し、でも男女の一線は越えないヨノン、反発しつつも、父のことを信頼しているジニョンとの親子関係、そして、コメディリリーフ的な、ネギョンの義弟のペンホン(チョ・ジョンソク)など、登場人物がみな、しっかりした役割を果たしています。

 陰謀劇だけならば、疲れてしまうでしょうけど、コメディ部分はしっかり笑えるというのは韓国映画ならではのメリハリ。それでいて、終盤のめまぐるしく動く展開、親子の愛や忠義について考えさせられる展開。実はネギョンは祖父のために宮廷を追放された元貴族(両班)。したがって、ジニョンに対しては、危険な宮廷には近寄ってほしくない思いと、一族の名誉のために再び出世してほしい相反する思いが。その思いは、国王が皇太子を思う気持ちとリンクしているわけです。本当に韓国のエンタメはしっかりしていますね。伏線をきっちりと回収しているのもうなりました。

 特殊な能力を持つがゆえの悲喜劇というのは現代にも通じますね。いくら天才でも、それを制御する力が無ければ破滅が待っているので、凡人のほうがよっぽど気楽に人生を送れます。それにしても、ここまで人相で運命が決まってしまうというのは恐ろしい気がするけれど、劇中で説得力をもってみられたのは、演技陣のおかげでしょうか。手段を選ばぬ陰謀劇は、ハリウッドでもなかなかみられないだけに、興味深くみられました。

posted by 映画好きパパ at 11:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | 2014年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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