作品情報2012年アメリカ/オランダ/イギリス/デンマーク映画 監督: ローレン・グリーンフィールド 上映時間:100分 評価★★★★(五段階) 鑑賞場所:新宿武蔵野館、鑑賞日8月20日 2014年劇場鑑賞138本目 ドキュメンタリー
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【ストーリー】
リゾートホテルをタイムシェアさせるサービスで総資産1800億円と全米屈指の大金持ちとなったデヴィット・シーゲル。30歳年下の妻、ジャッキーは元ミセスフロリダの美女で、シーゲルとの仲もよく、7人もの子供が産まれた。
貧しい家に生まれながらも超セレブになった2人は、自分たちの夢が詰まった家を建てようとする。それはベルサイユ宮殿をアメリカにつくるもので、住宅の大きさは8000平方メートルと個人住宅としては全米一(ホワイトハウスですら5100平方メートル)。総工費100億円で夢の住宅の建設がはじまった。だが、ほどなくしてリーマンショックがシーゲルたちを襲う。銀行の融資を断ち切られ、何と借金の額は1200億円に。このままでは夢の住宅も差し押さえられてしまう。果たして一家の生活は…
【感想】
もともと、大豪邸を建てるドキュメンタリーとして始まったこの作品ですが、くしくもシーゲルが借金まみれになってしまい、転落劇を描くことになってしまいました。公開後、シーゲルは名誉毀損だと訴訟を起しますが、監督が勝訴しています。それだけ、人間くささにあふれたドキュメンタリーです。
前半は金持ちのゴージャスな生活が映し出されます。ブッシュ前大統領を当選させた権力者としてテレビにも出て、家でのパーティーにはミスアメリカ候補50人を呼び寄せます。そんな大豪邸でもものたりない、新居にはフルサイズの野球場やスケート場も敷地に建てようというのだから、スケールが違う。さらに、シーゲルはラスベガスに自社ビルを500億円かけて建設します。
普段の生活も桁違い。宝石や毛皮は驚かなかったけど、ジャッキーのパンツは何と1万ドル。どんなパンツなのか想像もつきません。また、動物好きの一家は犬、蛇、トカゲなどさまざまな動物を飼っているのですが、犬が室内でところかまわず糞をして、それを20人近くいる使用人が片っ端から片付けていく。普通に犬をしつけすればいいのに、と思うのは凡人だからでしょうか。だから、せっかく物を買っても大切にしている様子がないのですよね。
そんななか、一家と一緒に暮らしている女子高生の姪だけはまだまっとうな感覚を持っていました。貧しい家で父親に虐待を受けて、シーゲル家に逃げ込んだ彼女は「以前はお金持ちは毎朝幸せな気分で起きると思っていたのに、モノをほしがる気持ちばかりになってしまう。お金に縛られている」と率直な感想を述べていました。実際、自分の身の丈にあってないお金は不幸を呼ぶのかもしれません。
後半は転落劇です。いつも自家用ジェットにばかり乗っていた幼い子供が「なんでほかのお客さんがいるの」と不思議そうに聞いたり、レンタカー屋で車を借りたジャッキーが「運転手はどこにいるの」とたずねて、店員にあきれられたり、といったようなのは本人たちが真面目なだけにコメディーのよう。
けれども、この映画の一番良かったのは、ジャッキーもシーゲルも純粋なアメリカ人気質の持ち主だということ。2人とも逆境になっても落ち込まないし、お金が無くても(それより僕らよりはるかにゴージャスな生活)互いを愛し合っています。自分の新居が差し押さえをうけそうなのに、幼馴染の友人が借金まみれで家を差し押さえられそうといわれると、お金を送ったりします。そうした、善良さ、苦難に陥っても戦おうとする前向きさが観ていて救いをもたらしてくれます。
それにしても、銀行がひどいというのはいずこも同じですね。シーゲルが盛んに、「銀行が低利で湯水のように貸し付けてきて、こちらの稼ぎがあるのに、いきなり資金を引き上げた」と怒るシーンが何度もありました。いくらお金持ちでも所詮、銀行にはかなわないということでしょうね。
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