2014年09月05日

マルティニークからの祈り

 韓国人の主婦が麻薬密輸容疑でフランスで逮捕され、マルティニーク島の刑務所に収監されたまま大使館の手違いで放置されてしまう、という実話を映画化。どんなときにもくじけずに離れた家族を思いやる気持ちが涙を誘います。
 作品情報 2013年韓国映画 監督:パン・ウンジン 出演:チョン・ドヨン、コ・ス、カン・ジウ上映時間131分 評価★★★★(五段階) 鑑賞場所:TOHOシネマズららぽーと横浜 鑑賞日9月1日 2014年劇場鑑賞145本目



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 【ストーリー】
 2004年、ジョンヨン(チョン・ドヨン)は優しい夫のジョンベ(コ・ス)、幼い娘のヘリン(カン・ジウ)と貧しいながらも幸せな生活を送っていた。ところが、ジョンベが後輩の保証人になったことから、巨額の借金を背負う羽目に。そこへ、ジョンベの友人で、妙にはぶりのよいムンド(チェ・ミンチョル)が怪しげな仕事を持ってきた。金の原石を運ぶだけで巨額の報酬を払うというのだ。

 最初は断ったジョンヨンだが、貧しさに耐えられずつい、話にのってしまう。しかし、実は荷物は麻薬だった。フランスの空港で逮捕された彼女は、カリブ海の孤島、仏領マルティニーク島の刑務所に収容される。言葉が通じない異国でたった一人の東洋人として、看守主任(コリンヌ・マシエロ)や囚人たちのいじめに遭うジョンヨン。しかし、韓国大使館のいい加減な対応で、裁判すら開かれず、そのまま刑務所に放置されるのだった。ジョンベは何とかして彼女を救おうとするのだが…

 【感想】
 やはり、貧乏は怖いな、というのが正直な感想。ジョンベは腕は良い整備士だったのに、気が良いため後輩の保証人になり、しらずに巨額の借金を負わされてしまいます。韓国で借金の怖さはキム・ギドク監督の「嘆きのピエタ」でも描かれていますが、ジョンヨンたちも家は追い出され、ヘリンにおもちゃを買ってやることもできなくなります。だから、多少危ないと思っても、巨額の報酬に目がくらんでしまいました。

 しかし、そのことは罪としても、その後の韓国大使館の対応がひどすぎる。通訳は手配しないし、書類を紛失して裁判が開けず、未決のままジョンヨンは拘留されてしまいます。どこも、官僚機構というのは金持ちは優遇するけど、庶民は相手にしないのでしょうね。しかも、問題になりそうになって慌てて面会にいって「カリブだからバカンスに来たと思えば」などと、本当に血が通っているとは思えない発言の数々。これが実話だというから怖い。

 そんななか、家族の絆というのが本当に素晴らしい。異国の地でどんなにつらい目にあっても、娘の写真と絵だけが心の頼りになります。ジョンベのほうも、過酷な労働をしながら、妻の身を救おうと奔走する。最初は頼りなかった彼が、決死の行動に乗り出す姿は感動しました。また、予告編にもありましたが、幼い娘が「ママの顔を忘れてきちゃった」と嘆くシーンは、子を持つ親としてはたまりません。このへんの泣かせどころを韓国映画はきちんと押さえてますね。

 主演のチョン・ドヨンは「シークレット・サンシャイン」でカンヌ主演女優賞を取った実力派。本作でもほとんどノーメークで、泥まみれになりながらも、体当たりで演技をこなしています。とにかく、希望、絶望、恐怖と転々と変わっていく彼女の表情の変化が大きな見所。コ・スはどちらかというとイケメンで、演技派の印象はなかったのですが、本作では見直しました。最初の気のいいだけのイケメンが、しっかりとした大人へと成長していました。また、「ママはレスリングクイーン」で、悪役に見えることを悩んでいたコリンヌ・マシエロが、本当に残虐な看守主任をやっていたのには笑いました。

 韓国映画にしては過剰な感情表現や下品な描写が少ないので、日本でも受け入れられやすいのではないでしょうか。それにしても、カリブ海にこんな島と刑務所があるなんてびっくりしました。海外旅行の際には、絶対に他人の荷物の運搬をしないように注意しなければ。
posted by 映画好きパパ at 06:08 | Comment(0) | TrackBack(3) | 2014年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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