作品情報 2013年韓国映画 監督:パン・ウンジン 出演:チョン・ドヨン、コ・ス、カン・ジウ上映時間131分 評価★★★★(五段階) 鑑賞場所:TOHOシネマズららぽーと横浜 鑑賞日9月1日 2014年劇場鑑賞145本目
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【ストーリー】
2004年、ジョンヨン(チョン・ドヨン)は優しい夫のジョンベ(コ・ス)、幼い娘のヘリン(カン・ジウ)と貧しいながらも幸せな生活を送っていた。ところが、ジョンベが後輩の保証人になったことから、巨額の借金を背負う羽目に。そこへ、ジョンベの友人で、妙にはぶりのよいムンド(チェ・ミンチョル)が怪しげな仕事を持ってきた。金の原石を運ぶだけで巨額の報酬を払うというのだ。
最初は断ったジョンヨンだが、貧しさに耐えられずつい、話にのってしまう。しかし、実は荷物は麻薬だった。フランスの空港で逮捕された彼女は、カリブ海の孤島、仏領マルティニーク島の刑務所に収容される。言葉が通じない異国でたった一人の東洋人として、看守主任(コリンヌ・マシエロ)や囚人たちのいじめに遭うジョンヨン。しかし、韓国大使館のいい加減な対応で、裁判すら開かれず、そのまま刑務所に放置されるのだった。ジョンベは何とかして彼女を救おうとするのだが…
【感想】
やはり、貧乏は怖いな、というのが正直な感想。ジョンベは腕は良い整備士だったのに、気が良いため後輩の保証人になり、しらずに巨額の借金を負わされてしまいます。韓国で借金の怖さはキム・ギドク監督の「嘆きのピエタ」でも描かれていますが、ジョンヨンたちも家は追い出され、ヘリンにおもちゃを買ってやることもできなくなります。だから、多少危ないと思っても、巨額の報酬に目がくらんでしまいました。
しかし、そのことは罪としても、その後の韓国大使館の対応がひどすぎる。通訳は手配しないし、書類を紛失して裁判が開けず、未決のままジョンヨンは拘留されてしまいます。どこも、官僚機構というのは金持ちは優遇するけど、庶民は相手にしないのでしょうね。しかも、問題になりそうになって慌てて面会にいって「カリブだからバカンスに来たと思えば」などと、本当に血が通っているとは思えない発言の数々。これが実話だというから怖い。
そんななか、家族の絆というのが本当に素晴らしい。異国の地でどんなにつらい目にあっても、娘の写真と絵だけが心の頼りになります。ジョンベのほうも、過酷な労働をしながら、妻の身を救おうと奔走する。最初は頼りなかった彼が、決死の行動に乗り出す姿は感動しました。また、予告編にもありましたが、幼い娘が「ママの顔を忘れてきちゃった」と嘆くシーンは、子を持つ親としてはたまりません。このへんの泣かせどころを韓国映画はきちんと押さえてますね。
主演のチョン・ドヨンは「シークレット・サンシャイン」でカンヌ主演女優賞を取った実力派。本作でもほとんどノーメークで、泥まみれになりながらも、体当たりで演技をこなしています。とにかく、希望、絶望、恐怖と転々と変わっていく彼女の表情の変化が大きな見所。コ・スはどちらかというとイケメンで、演技派の印象はなかったのですが、本作では見直しました。最初の気のいいだけのイケメンが、しっかりとした大人へと成長していました。また、「ママはレスリングクイーン」で、悪役に見えることを悩んでいたコリンヌ・マシエロが、本当に残虐な看守主任をやっていたのには笑いました。
韓国映画にしては過剰な感情表現や下品な描写が少ないので、日本でも受け入れられやすいのではないでしょうか。それにしても、カリブ海にこんな島と刑務所があるなんてびっくりしました。海外旅行の際には、絶対に他人の荷物の運搬をしないように注意しなければ。
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