作品情報 2014年日本映画 監督:若松節朗 出演:中井貴一、阿部寛、広末涼子 上映時間119分 評価★★★★(五段階) 鑑賞場所:TOHOシネマズ日本橋 鑑賞日9月25日 2014年劇場鑑賞168本目
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映画リンク集-シネマメモ
【ストーリー】
彦根藩士の志村金吾(中井貴一)は、井伊直弼(中村吉右衛門)の警護役だったが、桜田門外の変で水戸浪士たちに井伊大老を討たれてしまう。生き残った志村は切腹も許されず、生き残った浪士への仇討ちを命じられる。
だが、逃げた浪士の行方を追ううちに、月日は流れて明治時代に。妻のセツ(広末涼子)の支えに助けられながら、それでも仇討ちへ執念を燃やし続けた。そのころ、浪士の唯一の生き残り、佐橋(阿部寛)は名前を変え、人力車夫としてひっそりと生きていた。そこへ、新政府は仇討禁止令を出すことになり…。
【感想】
古き良き日本を思い出させる作品。志村は普段は温厚ながら剣の達人であり、武士としての誇りを忘れない男。それゆえに、武士にとっては屈辱ともいえる、主君を討たれたのに切腹すらゆるされない過酷な処分にもたえていきます。この作品の白眉といえるのは、明治になって、武士という身分がなくなっても、その魂は志村の心に変わらず流れているということ。恐らく、そうした精神は、現在の日本人も心の奥底に持っており、だからこそ、志村の行動に共感を覚えるのではないでしょうか。
佐橋も、思想に殉じて大老暗殺という行動を起しましたが、普段は寡黙ながら、子供にもなつかれるまっすぐな男。だからこそ、暗殺という行為に走らざるをえなかったとも想像でき、この2人の人物造詣がしっかりしているため、安心して見られました。
特に、予告編でもある、佐橋の人力車に志村が搭乗してからのシークエンスは、お互いどこまで相手のことを知っているのかというサスペンス的なハラハラ感もあり、原作をよんでいなかっただけに、2人の決闘がどうなるのか、最後までスクリーンから目が離されませんでした。
ただ、時代背景があるとはいえ、セツがあまりにも出来すぎており、そもそも、セツの稼ぎだけなのに、つつましやかながらも、清潔な暮らしができるのかなど、ちょっと美化されすぎという気も。むしろ、仇討ちにつながる情報を伝える元幕府の評定所留役・秋元(藤竜也)の妻のほうが、人間らしい本音がでていてよかったです。
さて、残念だったのが終盤の新橋駅から柘榴坂までのシーンのセット。これだけの俳優が出ているのだから、NHKの朝ドラよりもちゃちくみえてしまうのはどうよ、という感じ。最後に来て、現実に戻される感じがしました。正統派時代劇なのに、おしいなあ。
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