2014年10月03日

ベツレヘム 哀しみの凶弾

 パレスチナとイスラエルを舞台にしたポリティカルサスペンスなんだけど、かなりパレスチナ寄りの視点も入れており、この作品がアカデミー賞外国語作品部門候補でイスラエル代表になったというのが驚きでした。

 作品情報 2013年イスラエル映画 監督:ユヴァル・アドラー 出演: ツァヒ・ハレヴィ、シャディ・マーリ、ヒサーム・オマリ 上映時間99分 評価★★★★(五段階) 鑑賞場所:ヒューマントラストシネマ渋谷 鑑賞日9月29日 2014年劇場鑑賞169本目 



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【ストーリー】
 イスラエル情報部のラジ(ツァヒ・ハレヴィ)は、ベツレヘムに本部があるパレスチナ過激派リーダー、イブラヒム(タリク・コプティ)の弟、サンフール(シャディ・マーリ)を情報提供者に仕立て上げていた。サンフールが15歳のとき、父親を逮捕して、協力しないと無期懲役にすると脅したのだ。

 それから2年たち、ラジとサンフールの間に、親子のような絆がうっすらとでていた。そこへ、エルサレムで爆弾テロが発生。イスラエル情報部はイブラヒム暗殺を決める。ラジにはサンフールも一緒に始末するよう命令が下るのだが…

 【感想】
 ひたすらハードボイルドな物語。日本ではパレスチナの実情はあまりしられていないけれど、恐らく、実際にこのようなことが起きていても不思議ではないでしょう。ラジは、イスラエルでのテロを防ぐため、過激派を暗殺することにはためらいをもっていません。しかし、その接点であるサンフールは実の息子のような存在でした。まだ、17歳でいきがっているけど、世の中のことはよくわかっていない純情なところもあり、息子のいないラジにとって、本物の息子代わりになる存在だったわけです。

 サンフールの立場も複雑です。兄は尊敬しているけれど、ラジのことも慕っている。さらに、イスラエルを裏切れば、家族がどんな仕打ちをうけるかとかんがえると、スパイをやめるわけにいかないのです。どっちをみても八方塞りな彼の心は次第にストレスで折れ曲がっていくところが悲惨。冒頭、勇気だめしといって、防弾チョッキを着た自分を友人に撃たせるシーンがありますが、心の奥底では自殺を望んでいたのかもしれません。

 さらに、イスラエル情報部の上層部からすれば、そんなエージェントの心情よりも治安を守るほうが大切なわけですし、イスラム過激派からしても、大義のために、自分たちの命は惜しくないわけです。そうした、それぞれの正義が交錯する様子を見せ付けられ、いったいこのもつれあった事態は解決できるのかと不安になりました。特に、イスラエル情報部が結構、パレスチナ人に傲慢、過酷な立場をとっており、みていたら、パレスチナで小競り合いが起こるというのも納得できるんですよね。イスラエル映画なのに、よくこんなふうに撮れるなあと驚きました。

 反面、たくさんの登場人物にたくさんの正義をもたせるわけですから、見ていて爽快感というのもありませんし、平板さすら感じてしまいます。また、アラビア語とヘブライ語の違いや、似たようなアラブ人の顔つきなどで、結構、話が分かりにくいところもありました。

 とはいえ、大義にはさまれた個人を描くというのはポリティカルフィクションの王道。そして繰り返しになりますが、ハリウッド映画では単なる悪役のパレスチナ過激派をここまで人間的に描く作品を日本でみられる機会はなかなかないと思います。上映期間は短いですが、DVDにすぐなるようなので、この手の作品に関心があるひとはお勧めです。
posted by 映画好きパパ at 06:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | 2014年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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