ジャージーボーイズ

　1960年代の大ヒットグループ「フォー・シーズンズ」をモデルにしたブロードウェーミュージカルをイーストウッドが映画化。でもミュージカルシーンはラストしかなく、もっと踊ってほしかったかも。

　作品情報　2014年アメリカ映画　監督：クリント・イーストウッド　出演：ジョン・ロイド・ヤング、エリック・バーゲン、クリストファー・ウォーケン　上映時間134分　評価★★★★（五段階）　鑑賞場所：ヒューマントラストシネマ渋谷　鑑賞日９月30日　2014年劇場鑑賞170本目





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映画リンク集-シネマメモ
　【ストーリー】
　1951年のニュージャージーの下町。街を抜け出すには軍隊にいくか、ギャングに入るか、スターになるしかなかった。街のチンピラ、トミー（ヴィンセント・ピアッツァ）は、床屋の息子で美声の持ち主、フランキー（ジョン・ロイド・ヤング）を自分のバンドに誘う。フランキーの美声は地元のマフィアのボス、デカルロ（クリストファー・ウォーケン）も感心させ、バックアップすることになった。さらに、作詞もできるボブ（エリック・バーゲン）、ベースのニック（マイケル・ロメンダ）が加わり、フォー・シーズンズを結成する。

　ボブの曲にフランキーの美声が加わり、プロデューサーのクリュー（マイク・ドイル）の手腕もあり、フォー・シーズンズはまたたくまにスターの階段を駆け上がる。だが、成功するにつれ、メンバー間の不和、ツアーばかりのため家族の崩壊など問題も起きてくる。さらに、時代の流れでフォー・シーズンズも落ち目になってくるが、さまざまな悲劇を乗り越え、「君の瞳に恋してる」が完成する。

　【感想】
　「君の瞳に恋してる」は知っていましたが、フォー・シーズンズは知りませんでした。ギャングとつるんだり、チンピラ時代にメンバーが窃盗で逮捕されたり、など結構、ブラックなことを描いていますが、原作ミュージカルの作曲はボブ、作詞はクリューだそう。本人たちも協力しているのだから、ここまで踏み込んで描けたのかもしれません。

　ミュージカルの栄光と凋落の悲劇に関する映画はさまざまありますが、本作は曲をきっちり歌わせていること。イーストウッドも同世代の人だから思いいれがあったのでしょうか。よく、この手の映画では、途中で曲がカットされたりしますが、本作ではフォー・シーズンズのヒット曲がじっくり聴けます。特に、君の瞳に恋してるが演奏されるシーンでは、なぜ、この曲の成り立ちも知ることが出来、背筋がぞわぞわっとなりました。

　また、チンピラ時代や売れないころもしっかり描いているうえ、メンバーそれぞれのキャラクターもくっきりたって、見ず知らずの僕にとっても、彼らの心情がよく分かりました。特に、４人それぞれが、自分のナレーションのパートをもち、観客を向いて、それぞれの思いを語るシーンは圧巻でした。

　また、クライマックスの現在（といっても1990年代ですが）の彼らと、当時の彼らがフラッシュバックするシーンや、エンディングの全員が踊るシーンも実に素晴らしい。素晴らしすぎで、むしろ、全体的に踊るシーンが少ないことにがっかりしたくらいです。

　ただ、フォー・シーズンズに思い入れがないと、やはり、134分は長いということと、実話をもとにしているからやむをえないとはいえ、転落部分などは想像の範囲内だったのですよね。ここらへんは、当時の音楽をしっているかどうかで分かれるところでしょう。リンゴ･スターはこの映画をみて怒らないのだろうか。