2014年10月13日

レッド・ファミリー

 韓国の鬼才・キム・ギドク監督は後進を育てることにも力をいれており、本作も脚本・制作はキム・ギドクで、監督は長編デビューとなるイ・ジュヒョンが担当しました。東京国際映画祭の観客賞をとっただけあり。泣ける作品ですが、僕はラストカットは好みでなく、最後の最後でちょっと評価がダウン。

 作品情報 2013年韓国映画 監督:イ・ジュヒョン 出演:キム・ユミ、ソン・ビョンホ、チョン・ウ 上映時間:99分 評価★★★★(五段階) 2014年試写11本目 10月11日公開



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映画リンク集-シネマメモ 【ストーリー】
 ソウル郊外の住宅地。威厳のある祖父ミョンシク(ソン・ビョンホ)、優しい夫ジェホン(チョン・ウ)、おしとやかで貞淑な妻ベク(キム・ユミ)、そして彼らを敬う娘ミンジ(パク・ソヨン)と、理想的な家族があった。それに比べて隣家のチャンス(オ・ジェム)一家は、夫婦でいがみあい、親子喧嘩ばかりのダメ家族。

 ところが、ベクたちは北朝鮮の工作員が家族をよそって潜入していたコードネーム「ツツジ班」だったのだ。班長のベクはチャンスたちをみて「資本主義は堕落している」とあざ笑う。だが、4人に下されるのは暗殺任務。失敗すれば本国に残した本当の家族の命は無い。過酷な任務をこなすうちに4人は次第に疲弊していく。家族でない4人は、ダメだからこそ絆があるチャンスたち一家に次第に惹かれていき、中でもミンジはチャンスに恋をする。そんな彼らに命じられた次の任務。それは、チャンス一家を皆殺しにすることだった…

 【感想】
 キム・ギドク監督が南北統一の願いをこめて書いたという脚本。南北問題の過酷な現状とともに、世界普遍の問題である、家族とはなんであるかということを突きつけています。喧嘩ばかりしていても、最後に頼れるのは家族の絆であるということが、北と南、2つの家族を通じて明らかにしています。

 序盤は結構笑わせるところがあり、キム・ギドクが脚本でも新人監督に任せたということは、ハートウォーミングなストーリーかと思わせていたけれど、ツツジ班が標的の赤ん坊すら殺していくなど、中盤からどんどん、ハードなストーリーに変わっていきます。というか、主人公が赤ん坊を殺害する映画って、これまで見たことがない気が…。現実には、十分起こりうるわけで、精神的に嫌なものを見せ付ける、キム・ギドクらしい毒のある作品でした。

 しかし、冷酷な工作員たちとして描かれていたツツジ班のメンバーだが、彼らも故郷に残した家族のために、自分の感情を押し殺して任務にあたっていることが徐々に明らかになっていきます。しかし、チャンスたちをみているうちに、人はみな家族をもっており、自分たちがあやめた人にも家族がいると気づく。同時に、過酷な状況にいるからこそ、ツツジ班内部にも互いを思いやる気持ちがでてくるのだけど、工作員としてはそのような人間的な感情はむしろ邪魔なわけです。しかし、人間的な感情がでたからこそ、チャンス一家の殺害指令に悩んでしまうのです。

 だから、クライマックスの一連のやりとりは、家族の幸せとは何であるかという人間にとっての究極の質問を付きつけ、見ているものの心を揺さぶる。東京映画祭で上映されたとき、大勢の観客が泣いたというのもよく分かります。また、新人監督であるためか、いかにも映画の中のフィクションにみえる演技や撮影方法をしているので、なまじリアルにとられるよりも、観客としてはなんとか見られたと思います。

 もう一つサイドストーリーですが、北朝鮮の指令を下すスパイの元締め(キム・ビョンオク)をめぐる話も、人間と家族のありかたを考えさせる描写があり、こうした部分は、非道な独裁政権でも、人間としての感情はあるんだと一筋の希望をもたせるつくりになっています。ただ、それだけに、ラストカットは個人的には受け入れられませんでした。だって、今後のことを考えたらどうなるのか、一見、希望的に見えるけど、実はとんでもない話しだったように思えてなりませんでした。
posted by 映画好きパパ at 14:29 | Comment(0) | TrackBack(12) | 2014年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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