2014年10月25日

蜩ノ記

 古き良き侍の精神をよく映し出した作品だと思います。映像も美しく、善も悪も飲み込むのか、義を貫くのか、人としての正義を考えさせられる作品。でも、感想をみると、特攻の美化につながるとかとんでもないことを書いてあってびっくり。文化の断絶がこんなに深刻なのでしょうか。

 作品情報 2013年日本映画 監督:小泉堯史 出演:役所広司、岡田准一、 堀北真希 上映時間129分 評価★★★★(五段階) 鑑賞場所:TOHOシネマズ日本橋 鑑賞日10月18日 2014年劇場鑑賞174本目

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映画リンク集-シネマメモ 【ストーリー】
 小藩の祐筆(文書清書係)の檀野庄三郎(岡田准一)は些細なことから同僚で家老・中根(串田和美)の甥の信吾(青木崇高)と刃傷沙汰になる。本来なら切腹になるところを、事件を穏便にすませたい中根から助命される代わりに、秘密の任務を命じられる。

 7年前、藩主の側室(寺島しのぶ)と密通した元側用人の戸田秋谷(役所広司)は、執筆途中だった藩史を完成させるまで切腹が猶予され、山里に家族もろとも幽閉されていた。その期限が3年後に迫っており、秋谷がおかしな動きをしないよう監視するのだ。庄三郎は藩史の清書をする名目で秋谷一家と暮らすことになった。だが、秋谷の清冽な人柄、そして、妻・織江(原田美枝子)、娘の薫(堀北真希)、息子の新太郎(吉田晴登)たちとの穏やかな関係をみるうちに、しだいに秋谷に惹かれるようになる。

 【感想】
 清と濁。どちらもなければ、まつりごとというのはうまくいきません。そして、そのことを知っている秋谷は、冤罪であることを知りながら、最後のときがくるまで、自分の仕事を誠心誠意行い、同時に、家族をいつくしみながら暮らすのです。その生き様は庄三郎だけでなく、みているこちらの心をうちます。ああ、今の日本にこのような為政者がいれば、と思えてなりません。

 秋谷の家族も一昔前の理想の家族です。貞淑で家族だけでなく村人たちにも慈悲深い妻、普段は大人しいけれど、芯はしっかりした姉。父親のことをだれよりも尊敬して、その薫陶を受けて立派に育つ弟。庄三郎の家族について触れるシーンがありませんでしたが、当時としてもこんな理想の家族はなかなかなく、庄三郎自身も人間的に大きく成長していくのが良く分かりました。

 秋谷も新太郎も武士らしく、領民を大事にし、大切な人を守り、藩の横暴は断固としてただします。そのどこまでもまっすぐさがまばゆいくらい。そして、山村の美しい風景や、蜩の鳴き声が、日本人の琴線に触れるといっても過言ではないでしょう。岡田が林のなかで剣の稽古をするシーンがありましたが、実際の斬りあいよりも、はるかに見ごたえがありました。

 また、本来なら悪役である家老一派も、まつりごとのうえでは犠牲がやむを無いことを良く分かっており、私腹を肥やしているわけではない描写がながれています。そして、秋谷の命がけの諌言をしっかり受け止める度量がある。これもまた、為政者の一つのあり方ではないでしょうか。

 ただ、小泉監督の演出なのでしょうか、役所、岡田、原田、堀北といった主役級が、それぞれ自分らしさを出す演技をしている一方で、アンサンブルみたいなものが今一つ感じられませんでした。もちろん、演技力に定評がある主演陣ばかりなのですが、みんな、自分のペースで演技している気がしてなりません。あえて、交通整理をしなかったのでしょうかね。だから、どうしても演技の世界としかみえないのがマイナス点。

 でも、世俗を突き抜けたところのある作品だから、これでいいのかもしれませんがどうなんでしょうか。現代でもこういう作品が作られるということが一番重要なことなのでしょうね。
posted by 映画好きパパ at 07:28 | Comment(2) | TrackBack(9) | 2014年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
下品な事を書いてしまうとね、役所広司のあの家では、誰もおならできない感じがしてね。そういう隙があってこそ人間って気もするので、もうちょっとオナラでなくていいから、アンサンブルはしてほしかったですね。
Posted by ふじき78 at 2014年10月27日 10:25
結局、庄三郎が入ったことによる変化というのが、庄三郎の一方的な変化のみで、しかも、役所と岡田、堀北らがそれぞれ自分の演技だけで、相手とかみ合ったかたちではないよそゆき感が最後までうまりませんでした。
Posted by 映画好きパパ at 2014年10月27日 11:29
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