2014年11月17日

最後の命

 芥川賞作家で、国際的な評価を受けている若手作家、中村文則の小説の初映画化。人間の闇と愛を非常に丹念なタッチで描き出しており、松本准平監督はまだ2作目なのに老成した雰囲気をかもし出しましてます。それとともに、柳楽優弥はすごさを改めて実感しました。

 作品情報 2014年日本映画 監督:中村文則 出演:柳楽優弥、矢野聖人、比留川游 上映時間:110分 評価★★★★(五段階) 2014年試写9本目 11月8日公開



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 【ストーリー】
 子供の頃に犯罪に巻き込まれた桂人(柳楽優弥)と冴木(矢野聖人)。桂人は大学生になっても、事件のトラウマで、人に触ることができなくなった。2人は小中高の同級生で、桂人の恋人で現在入院中の香里(比留川游)は冴木とも付き合っていたことがあるという複雑な仲だった。

 ある日、2人は久しぶりに再会する。その晩、桂人の部屋でデリヘル嬢のエリコ(池端レイナ)が殺害される。刑事(滝藤賢一)は桂人を疑うが、部屋から冴木の指紋が出ると態度を一変。何と、冴木は連続婦女暴行犯として指名手配中だったのだ。果たして犯人は冴木なのか。そして、それはまた、幼少時の事件のせいなのか。桂人は過去の記憶を追い始める。

 【感想】
 ひたすら重い作品。小学生のころうけたトラウマというのは一生引きずるだろうし、しかも、2人はそれによって一蓮托生的な関係に陥ってしまっているのだから、なんとも救いようの無い話です。幼時の記憶、体験というのは、身体にこびりついてしまい、しかも、それは時が立つにつれて増殖していく。

 香里の存在により、2人は救われるというストーリーがあってもよかったのかもしれません。しかし、2人の闇はあまりにも深いし、高校生や大学生にそこまでの愛情を求めるというのは難しいでしょう。本当に救いようの無い話でありました。しかも、この手の映画のカタルシス的なものを、2人の会話、行動によって、あえて封印してしまうのですよねえ。原作か監督かしりませんが、ひたすらドSな作品ともいえます。

 また、犯罪のシーンも、監督は丹念に撮影するんですよ。子役にトラウマが残らないかと、余計な心配をしてしまいました。うーむ。犯罪や犯罪者には普通の人は近づかないというのが、一番、安全ということなのかなあ。もっとも、すべての犯罪被害者がこんなトラウマを持つかも分からないし、そういう意味では分かりやすい話なのかも。

 主役の柳楽は、「アオイホノオ」の顔芸から一変。織田裕二の若い頃を彷彿とさせる容貌で、半分、闇の中に引きずりこまれそうな男になりきっています。「闇金ウシジマくん2」のストーカーのような、いかにもの犯罪者と違って、ごく普通の人間が闇に落ちそうな危うさというのをよく体現していました。ただ、矢野の演技が、うまくかみ合っていなかったのが残念。蜷川舞台で鍛えられているのに、柳楽との演技力の差なのかなあ。滝藤の大げさな演技も鼻に付いたけど、矢野の台詞回しとかは、ちょっと現実に引き戻されました。一方、比留川は映画デビューとは思えないような自然さで、作品にうまく入り込んでいました。

 今年で言えば、「そこのみにて輝く」とか「私の女」とか、人間の暗部から犯罪を描く邦画の系譜です。この2作がすきならば、本作もはまるのではないでしょうか。
posted by 映画好きパパ at 23:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | 2014年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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