作品情報 2013年アメリカ映画 監督:デスティン・ダニエル・クレットン 出演:ブリー・ラーソン、ジョン・ギャラガー・Jr、ケイトリン・デヴァー 上映時間97分 評価★★★★(五段階) 鑑賞場所:ヒューマントラストシネマ渋谷 鑑賞日11月15日 2014年劇場鑑賞189本目
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映画リンク集-シネマメモ
【ストーリー】
児童虐待などで保護された子供たちが暮らす施設ショートターム12。現場の責任者でケアマネジャーのグレイス(ブリー・ラーソン)は規則をうるさくいいながらも、愛情をもって子供たちに接しており、入居者からの尊敬も集めている。彼女は同僚のメイソン(ジョン・ギャラガー・Jr.)と同棲しており、妊娠が分かった。
しかし、彼女自身も幼い頃虐待をうけており、自分が親になることにとまどいを感じていた。そこへ、母親が死んだあと荒れて自殺未遂を繰り返す少女ジェイデン(ケイトリン・デヴァー)が入居してくる。固く心を閉ざす彼女に、グレースは若い頃の自分を重ねていた。
【感想】
デスティン監督も児童養護施設で働いた経験があり、丹念にリサーチを行った結果、実際の現場もそうなんだろうな、と思わせるつくりになっています。例えば施設の中では取り押さえていいけど、外に出たら無理やり捕まえることが出来ないといったことや、児童虐待の可能性があっても、子供自身が否定するとそれ以上踏み込めずにやきもきするなど、些細なデテールがいきてきます。
また、施設の入居者は一種の家族みたいになっているけれど、18歳になれば強制的に退所しなければなりません。知的障害の子供もいて、突然、施設を脱走するなど、子供たちに愛情を向けながらも緊張状態は続きます。その職員の心理状態も経験者だけに見事に描いています。
子供たち自身も心に傷を追い、親との関係をどうしたらいいのか複雑な気持ちを抱えています。週末の面会日に親が来るのを楽しみにしながら、すっぽかされた子供をみていると、涙がでてきそうになりました。ティーンエイジャーの俳優たちが、本当に等身大に演じていて、彼らの怒りや悲しみがストレートにこちらに伝わってきました。
こうした施設の描写も見事ですが、グレイスの心理も丹念に描いており、普段気丈に働いている彼女の心に闇が見える瞬間や、優しさだけではつとまらないメイソンとの間の感情のゆれなど、恋愛映画とみても、落ち着いて考えさせられます。
重苦しいテーマを、ユーモアは忘れずに、でも、じっくりと描く手法も共感できました。派手な作品が多いアメリカ映画で、しっとりという言葉がぴったり合う作品にはなかなか合えません。上映時間が短いのもグッド。見終わったあとは、さわやかな気持ちになれますし、小規模上映ですが、多くの人に見てもらいたい作品でした。
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