2014年11月23日

デビルズ・ノット

 アメリカ犯罪史上まれに見る謎といわれる猟奇的殺人事件を、登場人物全部実名で映画化しました。この事件は冤罪説が言われていますが、映画では、ある登場人物が真犯人ではないかと強く示唆しており、これって名誉毀損にならないのかとびっくり。

 作品情報 2013年アメリカ映画 監督:アトム・エゴヤン 出演:コリン・ファース、リース・ウィザースプーン、ジェームズ・ウィリアム・ハムリック 上映時間:114分 評価★★★★(五段階) 2014年試写8本目 11月14日公開



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 【ストーリー】
 1993年5月5日、アーカンソー州ウエストメンフィス。パム(リース・ウィザースプーン)の8歳の息子スティーヴィー(ジェット・ジョーギンスマイヤー)ら3人の子供が、自転車で出かけたまま深夜になっても帰ってこなかった。警察や近所の人が懸命に捜索し、ロビンフッドの森と呼ばれる深い森の中の小川で3人の遺体を発見する。いずれも縛られたうえ、残酷な暴行を受けていた。

 初動捜査は難航するが、ビッキー(ミレイユ・イーノス)という女性が警察に現れ、自分の息子も誘拐されたが、間一髪逃げてきたと証言する。証言をもとに、ダミアン(ジェームズ・ウィリアム・ハムリック)、ジェイソン(セス・メリウェザー)、ジェシー(クリストファー・ヒギンズ)の10代の男3人が逮捕された。ダミアンらは悪魔崇拝をしており、その生贄のために子供たちを犠牲にしたというのだ。地元の調査会社社長のロン(コリン・ファース)は警察の捜査がずさんで、事件は冤罪だと信じて、弁護団に加わる。果たして真犯人は…

 【感想】
 ウエストメンフィス3といわれる実際の事件を基にしています。アメリカでは非常に有名な事件で、ジョニー・デップ、ピーター・ジャクソン、メタリカといった著名人たちが、事件が冤罪だと訴える活動をしているそう。アメリカ公共放送も冤罪説にたったドキュメンタリーを制作しています。

 ダミアンたちは、パンクが好きで学校もさぼりがち、しかも万引きで捕まった経歴もあります。アメリカの田舎町では悪魔崇拝などとても許されないことで、街の異分子である3人が容疑者として上がると、住人たちはあいつらなら犯人に違いないと自然に感じたのでした。しかも、警察の捜査がずさんきわまりない。犯行の夜、近くのレストランで血だらけの黒人男性が目撃されますが、通報で警察が駆けつけたときには、逃げられていました(ダミアンたちは白人です)。しかし、取材に過熱するマスコミや地元住民にあおられて、これまでろくな事件も扱ったことの無い田舎警察が、強引に犯人をでっちあげたとしても納得できそうです。

 遺族たちの反応も分かれます。中でもパムは裁判を傍聴しているうちに、あまりにもずさんな警察や強引な裁判の進め方に疑問を持ちます。彼女は、だれが自分の息子を殺した犯人を知りたいだけなのに、遺族には何もしらされず、不毛な裁判のやりとりにうんざり。一方、ロンも捜査がいかにずさんかの証拠をあつめますが、バーネット判事(ブルース・グリーンウッド)は、検察の言うことしか信じません。この2人の悲痛な思いが、観ているこちらにストレートに届いてきます。

 結局、人間は真実は何かを知りたいというよりも、自分たちの偏見などが先にたって、信じたいことを真実だと思うのですね。個人的には突然子供を失ったときのパムの反応や、その後、夫でスティーヴィーの継父にあたるテリー(アレッサンドロ・ニヴォラ)とのやりとりに、同じ親を持つ身として考えさせられました。また、パムが学校に言ったときに、悲しみにくれる彼女をなぐさめようと、自然と同級生たちが集まるシーンは、ぐっとこみあげるものがありました。

 ただ、現実の事件をもとにしているうえ全員実名なので、あまり過激に作れず、ひたすら地味であったこと、最後の字幕の部分で、明らかにある人物を真犯人と示唆している部分があるのですが、そのへんが本編ではほとんど触れられていないというのは、劇映画としてはマイナスだったのではないでしょうか。ちなみに日本版ウィキペディアのウエストメンフィス3の項目ではある人物が犯人と読めますが、この映画では、別の人物を真犯人だとみなしています。事件のことがしられ、ドキュメンタリーが何本も制作されているアメリカでは本作の評価は低く、ロッテントマトでは23%(批評家の23%しかほめなかった)しかないですが、僕のように事件そのものをしらなければ、社会派映画として十分鑑賞できる作品でしょう。







 以下ネタバレ

 警察の捜査はずさんで、レストランに残されていた血を鑑定途中で紛失してしまいます。また、子供たちを縛ったくつひもに付着していたDNAは3容疑者とは別人のもので、遺体に残されていた歯形も、やはり3人とは一致しなかったのです。さらに、ビッキーは詐欺容疑で警察から捜査をうけており、自分の罪を逃れるために証言をでっちあげた疑いが濃厚で、裁判では証人として採用されていません。にもかかわらず、判決は確定し、死刑を避けるために、3人は司法取引をしました。日本人の感覚からすれば、無実なのに司法取引をするというアメリカの制度は不思議でなりません。3人は2011年に釈放され、この映画にも協力しているそうです。

posted by 映画好きパパ at 09:54 | Comment(2) | TrackBack(12) | 2014年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ブログ楽しく読ませて頂きました。
私はメバリングメインで釣りをしているたけとと申します。
予告編を見て続きが気になってしまいました…!
「人は自分が信じたいものを真実だとおもう」というところに非常に納得してしまいました。
ますます結末が気になります…(^0^;)
Posted by たけと at 2014年11月30日 14:28
コメントありがとうございます。実際の事件を知らないと、楽しめるサスペンスだと思います。雰囲気もゾクゾクするものがありましたし。機会があればごらんください
Posted by 映画好きパパ at 2014年11月30日 15:13
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