作品情報 2014年フランス/カナダ映画 監督:ジャン=ピエール・ジュネ 出演:カイル・キャトレット、ヘレナ・ボナム=カーター、カラム・キース・レニー 上映時間118分 評価★★★★(五段階) 鑑賞場所:ヒューマントラストシネマ渋谷 鑑賞日12月11日 2014年劇場鑑賞197本目
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映画リンク集-シネマメモ
【ストーリー】
モンタナ州の雄大な自然のなか、牧場で暮らす10歳の少年T・S・スピヴェット(カイル・キャトレット)は、科学の天才児だった。だが、一緒に遊んでいた双子の弟レイトン(ジェイコブ・デイヴィーズ)が事故死してしまい、家族はみな悲嘆に暮れ、T・Sは自分を責め続けていた。
T・Sが制作した永久機関が、偉大な発明家に贈られるベアード賞を受賞し、スミソニアン博物館から授賞式の案内が来た。学校にも家庭にも居場所の無いT・Sは家出をして、一人で大陸を横断してワシントンへ向かう。
【感想】
「パシフィック・リム」以来の3Dで鑑賞しましたが、3Dにこんな使い方があるのかと、納得しました。フランス人監督だからでしょうか、ただ、列車がアメリカを横断するだけなのに、その風景の美しいこと。そして、ジュネ監督お得意の、いたずらめいたオープニングから始まる、童心に返らせてくれる3Dの数々。
予告編からすると、もっとT・Sが孤立しているのかとおもったけど、父(カラム・キース・レニー)も母(ヘレナ・ボナム=カーター)も姉(ニーアム・ウィルソン)も根は善良で、T・Sのことを思いやってくれる。しかし、そのことを飛ばすぐらい、レイトンの死が一家に陰を落としてしまい、T・Sの孤独にだれも気づくことが出来ない。こうした人間関係は、まだ10歳の男の子にとっては過酷だったでしょう。旅の途中で公衆電話で家に連絡するシーンは本当にすごい。彼の孤独な心がこちらに素直に伝わってきました。
少年が大陸を横断するというロードムービーの要素も強く、彼が旅の途中で出会う人々や、大人から見れば小さな冒険だけど、子供から見れば大冒険の数々が、T・Sの心を豊かにしていきます。松の木の寓話など、よく考え出したものでした。ワシントンについてからのスピーチも見事。とにかくT・Sの健気さと家族の絆の大切さに心うたれる作品でした。
ただ、スミソニアンのジブセン副館長(ジュディ・デイヴィス)は浅はかだとおもうけど、ちょっと馬鹿にしたような立ち位置だったのがよくわからない。典型的な善良だけど鈍感なアメリカ人に対する、フランス人ならではの皮肉でしょうか。
カイル・キャトレットは愛くるしい笑顔と、演技力が絶賛されていますが、アメリカ映画の子役であまり騒がれすぎると大成しないので、ぜひ、道を外さずにがんばってほしいもの。脇役だと、グレーシー役のニーアム・ウィルソンがおいしい役柄。田舎住まいで都会にあこがれるけど、家族のことが第一に思える少女なんて、僕みたいな父親の立場からすると最高ですね。また、ジュネ組常連のドミニク・ピノンがすっかりおじいさんになっているのは驚きでした。
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