2014年12月30日

6才のボクが、大人になるまで。

 少年の成長をテーマに、4人の俳優が12年かけて家族を演じた前代未聞の作品。日本だと「北の国から」がありますが、ドラマと違い、2時間台の映画に12年分を濃縮するというのはすごい。しかも、どこにでもいそうな少年の物語で、難病だの殺人だの映画をもり立てる要素は一つも無いのに、最後まで目を離せませんでした。

 作品情報 2014年アメリカ映画 監督:リチャード・リンクレイター 出演:パトリシア・アークエット、エラー・コルトレーン、イーサン・ホーク 上映時間165分 評価★★★★★(五段階) 鑑賞場所:TOHOシネマズシャンテ 鑑賞日12月27日 2014年劇場鑑賞204本目



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 【ストーリー】
 テキサスに住む6才の少年、メイソン(エラー・コルトレーン)は、母のオリヴィア(パトリシア・アークエット)と姉のサマンサ(ローレライ・リンクレイター)と暮らしている。父のメイソン・Sr(イーサン・ホーク)は夢ばかり語って職に就かず、オリヴィアに愛想を付かされて離婚したが、たまの面会日をメイソンもサマンサも楽しみにしている。

 シングルマザーとなったオリヴィアはキャリアアップのためヒューストンに移り住み大学に通う。月日が移り変わるなか、メイソンは多感な思春期を送り、だんだん大人への階段を上っていく。

 【感想】
 どうってことのない日常を切り取るだけで、しかも、起承転結があるわけでもないのに、なぜか、心に入ってくる作品でした。日本とアメリカでは風習が全然違うとはいえ、だれもが体験したことがあり、でも、映画やドラマでは取り上げられない些細なことが積み重なっているからでしょう。例えば、子供の頃は親友だったのに、転校ともに疎遠になったりとか、幼いころはじゃれあっていた姉と弟が思春期になると互いに意識してつんけんしあうとか。

 4人の前に登場しては消えていく脇役たちも、それぞれの人生があるとともに、いろんな意味でメイソンに影響を与えていることがわかります。彼の才能を伸ばしてくれた高校教師、タバコや酒を教えてくれた近所の年上の不良、一家が困ったときに救いの手を伸ばしてくれた優しい夫人。個人的にはヒスパニックの配管工のエピソードが好きなんだけど、人はおもっても見なかったことで他の人に影響を与え、つながっていることを実感できることばかりでした。

 オリヴィアが性格的にきついところがあり、男を見る目もないのだけど、付かず離れずのところにいるメイソン・Srの立ち位置が同性としてうらやましい。子供相手にむきになる少年じみたときも、再婚して、今までの自分とまったく違う保守的な農家の義父母と折り合いがつく大人になっても、変わらず子供たちにまっすぐの愛情を向ける。おそらく、いつも一緒だったらうざいオヤジとおもわれたのだろうけど、離れているがゆえに一番おいしいポジションでした。彼が子供のころのメイソンに言ったことをすっかり忘れていて、メイソンがすねるシーンはおかしかった。

 エラー・コルトレーンは可愛い子役にすぎなかったのが、どんどん成長していき、最後はアーティスト志望の俳優になっているのも納得できたけど、時代とともに変化するパトリシア・アークエットの体型や、ふけないので無理してひげをはやしてごまかしているイーサン・ホークのいけめんぶり、かわいい→ちょいブサ→落ち着いた女の子と変化する、監督の娘でもあるローレライ・リンクレイターの表情など、4人の俳優をずっと追っているこちらは、遠縁のおじさんにもなった感じで、彼らを暖かく見守れます。

 映画に派手さを求める人は評価が高くないかもしれないけれど、人生の一時期を確かに再現できたというのは、本当にすごい映画だと思います。アカデミー賞最有力であることは間違いありません。
posted by 映画好きパパ at 00:10 | Comment(0) | TrackBack(11) | 2014年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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