2015年01月21日

0.5ミリ

 センチ(5センチの恋)の次は、ミリの映画で奥田瑛二ファミリーが総出演の作品。映画祭では評価が高いですが、正直、前半は文句なしに素晴らしかったけど、終盤はだれました。上映時間が長いと、評論家受けが良くなるのですかね。

 作品情報 2013年日本映画 監督:安藤桃子 出演:安藤さくら、津川雅彦、柄本明 上映時間196分 評価★★★★(五段階) 鑑賞場所:シネマート六本木 鑑賞日1月15日 2015年劇場鑑賞6本目



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 【ストーリー】
 高知で介護ヘルパーとして働くサワ(安藤桃子)は派遣先の片岡家で奇妙な依頼をされたことから、大トラブルになり、仕事も住まいも失ってしまう。一文無しで町をさまよう彼女は、カラオケ店でまごつく老人(井上竜夫)を強引に世話したことから押しかけヘルパーになる。

 次いで、駐輪場で自転車を次々パンクさせている老人茂(坂田利夫)をみつけ、警察に届けると脅して、無理矢理同居してヘルパーに。最初は嫌がっていた茂も、サワのまめまめしい働きぶりに次第に心をひらいていく。

 【感想】
 だれにでも訪れる老後。孤独で相手にされないことほど寂しく悲惨なことはない。そんな老人たちの前に現れたサワは天使といえるだろう。安藤さくらの時には素のようにみえる天然の演技がそれを余計に感じさせる。セクハラされてもやんわりといなすし、家事の天才。話し相手としてもちゃんと老人の話を聞く。実際に彼女のような存在はいないし、ある意味、寓話なのだろうけど、だからこそ、老人の孤独、寂しさを浮き彫りにする前半は、掛け値なしに素晴らしかった。

 相手にされないから、世間をひがんだりする老人。でも彼らには何十年も積み重ねた人生がある。その最後は邪険にされて果たしていいものか、ということが考えさせられる。最近、老人や介護をテーマにした作品は多いけど、寓話めいたやりかたをしつつ、深層をえぐるというのは他に例がないのでは。特に、老人の性とか、認知症とか、こういうひねった取り上げ方のほうが、かえって心に響きます。

 ただ、後半、津川雅彦、柄本明が出てくるのは正直、微妙でした。特に津川とか柄本とか、他のドラマや映画の役の印象が強く、津川だったら黒幕とか、柄本だったら実は腹黒い計画をもっているとか、思ってしまうではないですか。もう少し、脇役専門の人を起用しても良かったのではないか。

 ストーリー的にいっても、津川雅彦が戦争の悲惨さについて語るシーンがあり、これは監督の気合いが入っていることが感じられ、津川がえんえんとこちら(観客)にむかってバストショットでしゃべり、聞き手の安藤は質問する声だけしかない。それの長回しだから技術的にはたいした物。でも、それまで積み上げてきた寓話のようなやりかたに、いきなりストレートで正論を聞かされても、夢が覚めてしまう感じでした。まあ、保守的な言論をしている津川にこういうセリフはやらせるというのは興味深かったけど。さらに、最後の柄本のエピソードは完全に話しを別の方向に曲げてしまっているように感じて、こちらも体力がつきてしまいました。津川のところで終わっていれば、すごい傑作だったのに。

 それにしても、安藤サクラの演技は素晴らしい。独特の存在感を出しつつ、天使のような役割を果たせる女優というのはほかに思いつきません。しかも、彼女の場合失礼ながら、いわゆる美人女優の範疇には入らないのに、仕草や表情で、老人でなくても、ほんとうに美人にみえるのだから、演技だけでこれだけできるのはたいしたものだな、とキネ旬の主演女優賞受賞も納得しました。
posted by 映画好きパパ at 09:03 | Comment(0) | TrackBack(4) | 2015年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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