2015年02月25日

ミルカ

 インドの国民的英雄である陸上選手のミルカ・シンの伝記映画。どこまでが実話かわかりませんが、1940〜60年代の印パ情勢も絡み、単なるスポ根には終わっていません。インドアカデミー賞14部門独占というのもわかる力作です。ただ、インドの歴史に詳しくない僕にとっては、ちょっと表現がくどいかな、と思われるところもありました。

 作品情報 2013年インド映画 監督:ラケーシュ・オームプラカーシュ・メーラ 出演:ファルハーン・アクタル、ソーナム・カプール、ディヴィヤ・ダッタ 上映時間153分 評価★★★★(五段階) 鑑賞場所:TOHOシネマズシャンテ 鑑賞日2月17日 2015年劇場鑑賞19本目



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映画リンク集-シネマメモ
 【ストーリー】
 1960年のローマオリンピック。400メートル走の世界記録保持者で、インドに初の金メダルをもたらすことを期待されていた、ミルカ・シン(ファルハーン・アクタル)は、決勝で優勝間違いなしの快走をしていたものの、突然、後ろを振り返ってしまい、4位に終わってしまう。なぜ、彼は後ろを振り向いたのか。

 1947年、インドとパキスタンの独立で騒然とするなか、シーク教徒である幼いミルカ(ジャプテージ・シン)の故郷の村は、パキスタン領土となった。改宗を拒む村はイスラム教徒に襲われる。そのときから、ミルカの過酷な運命が始まっていたのだ。

 【感想】
 1960年、幼いころ、インドの難民キャンプから従軍して陸上を始めたころの3つの時間軸で物語はつづられています。それぞれが、独立した作品として描かれてもおかしくないものを、1本の作品にぎゅーと絞っているのですから、本当に濃密な作品でした。

 貧しいながらも楽しく過ごしていたミルカ一家の運命が、国際情勢の変化が暗転します。難民となった彼は、窃盗などをして生きるのに必死。しかし、あこがれの彼女(ソーナム・カプール)との出会いと、姉(ディヴィヤ・ダッタ)との再会が、将来を真剣に考えるきっかけになります。どんなにすさんだ心や厳しい状態に陥っても、自分のことを本心から思ってくれる家族や恋人、友人がいるだけで、人間はどれだけ救われるか、終盤、思いがけない人物との対面シーンがありますが、人は一人では生きていけないということをしみじみ感じさせられました。

 一方、陸上をはじめてからのミルカの快進撃はスポ根ものです。シューズも履いたことのない彼が、先輩たちからのいじめもはねのけ、ひたすらトレーニングに打ち込み、ついにインド代表を手にするまでは、テンポもよく、快感でした。同時に、幼い頃にパキスタンによって大切なものを奪われた彼にとって、インドという国家の代表になることがいかに大切であり、そのインドを守る軍隊も、彼の心の支えになるというのも考えさせられます。

 そして、映画の中の現在(1960年)。オリンピックで失速した彼は、印パ情勢改善のための親善大会の選手団長になるよう、ネール首相直々に頼まれます。しかし、パキスタンは彼にとって不倶戴天の敵であり、そこでの大会に出場して、両国の親善に勤めることは、彼にとって耐えられないことでした。その彼にまつわるエピソードが、スポーツというのは、国や人種、宗教を乗り越える素晴らしいものだという大きな感動をもたらします。国際紛争が絶えない今だからこそ、考えさせられました。

 素直に感心したのは、ミルカを聖人のようには描かず、盗みで逮捕されたり、大切な試合の前に女の子と遊んで、大敗したりというマイナス部分も取り上げていたこと。もちろん、インド映画らしく、明るい好青年であることがベースにありますが、複雑な物語にするうえには、単なるスーパーヒーローにしなかったのは監督の英断ではないでしょうか。

 陸上シーンは、各国の陸上経験者に参加を呼びかけたそうで、日本代表は武井壮が演じていました。セリフはないけれど、ミルカの隣のコースで走っていたので、顔はばっちり写っています。また、ファルハーン・アクタルも本格的なトレーニングを受け、体脂肪率5%までそぎ落としたとか。当時の大会のフィルムを巧く使って、見せ方も工夫しており、試合のシーンも楽しめました。社会ドラマだけに、突然登場人物が歌い出すというインド映画特有のシーンもないので、インド映画アレルギーの人にも受け入れられやすいかもしれません。2時間半近い上映時間も苦にならない良作といえましょう。

posted by 映画好きパパ at 06:55 | Comment(0) | TrackBack(5) | 2015年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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ミルカ / Bhaag Milkha Bhaag
Excerpt: 実在のインド人オリンピック陸上選手ミルカ・シンの半生を描いた作品。 アジアにも、こんなに早い人がいたんですね。知りませんでした。ミルカを演じているのは、ファルハーン・アクタル(なんか、オダギリジョー..
Weblog: 勝手に映画評
Tracked: 2015-02-25 22:51

「ミルカ」
Excerpt: 2013年・インド 配給:日活=東宝東和 原題:Bhaag Milkha Bhaag 監督:ラケーシュ・オームプラカーシュ・メーラ脚本:プラスーン・ジョーシプロデューサー:ラケーシュ・オムプラカーシュ..
Weblog: お楽しみはココからだ〜 映画をもっと楽しむ方法
Tracked: 2015-02-25 23:14

ミルカ
Excerpt: インドでスマッシュヒットしたと聞いていて、最近のインド映画におくらばせながら面白さに注目している俺としては気になって仕方がなかった『ミルカ』を観てきました。 ★★★★ ストイック過ぎる体の作り方とか..
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ミルカ・・・・・評価額1650円
Excerpt: 天駆けるシクの伝説。 1950年代から60年代にかけて、世界最速を誇ったインドの中短距離競技の陸上選手、ミルカ・シンの半生を描くスポーツ伝記映画。 物語は、1960年に開催されたローマオリンピ..
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Tracked: 2015-02-26 22:17

ミルカ ★★★
Excerpt: ボリウッド映画界において著名なファルハーン・アクタルが体脂肪率を5パーセントにまで落とし、実在のインド人ランナーのミルカ・シンを熱演する人間ドラマ。空飛ぶシク教徒と称賛されたランナーの栄光の陰に潜む、..
Weblog: パピとママ映画のblog
Tracked: 2015-04-01 09:10