作品情報 2014年日本映画 監督:堤幸彦 出演:高良健吾、石田ゆり子、大竹しのぶ 上映時間138分 評価★★★(五段階) 鑑賞場所:TOHOシネマズ川崎 鑑賞日3月14日 2015年劇場鑑賞29本目
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【ストーリー】
事故や事件で犠牲者が出た場所にいき、生前、犠牲者がだれを愛して、だれに愛されたかを知り、独特の祈りで他人の死を悼んで全国を歩いている静人(高良健吾)。売れるためには卑劣な手段もとる雑誌記者、蒔野(椎名桔平)は、静人に反発しながらも、雑誌のネタにならないかと調べていく。静人の行為は、他人から気味悪がられ、妹の美汐(貫地谷しほり)の婚約も破談になった。だが、母の巡子(大竹しのぶ)は静人のことを静かに見守っていた。
ある事情から夫(井浦新)を殺めてしまった倖世(石田ゆり子)は、現場で静人が夫を悼んでいる姿をみて、思わず声をかけてしまう。そして、悼むことがどういうことか知るために彼と同行することにした。
【感想】
原作は大昔に読んだけど忘却の彼方に。さて、人は死後、忘れ去られて本当に死んでしまうという話もあり、だれかが生前の彼を悼むというのは崇高な行為だと思います。でも、川崎の事件のあとに、現場に花が山のように贈られ、大勢の人が詰めかけるのを見ると、ショッキングな事件の犠牲者は多くの見ず知らずの人が悼んでくれるわけです。でも、単なる事故では、遺族以外すぐに忘れられてしまう。広島原爆と同じ日に対岸の今治であった空襲の例があがっていますが、実は人の死の意味、価値を考えさせられる重いテーマになると思います。
それだけに、舞台が東北なのに、東日本大震災に一言も触れないというのは、理解できませんでした。例えば、震災であれだけ多くの方が亡くなっているのをどうとらえるのか。逆に、震災の時期に震災と関係なく亡くなった方の意味はどうなのか。原作は震災前でしたが、映画は2015年、しかも震災前後に公開されているだけに、そこに触れないのは残念です。
そして、出てくる話がほとんど、安っぽいドラマになってしまい、俳優陣が熱演するほど、絵空事に感じてしまったのは残念です。例えば、椎名桔平のシークエンスなど、とにかく、感動的なセリフを並べて、泣かせようという作り手の気持ちが見えてしまい、かえって、しらけてしまいました。
ただ歩くだけでもさまになる高良、体当たりシーンを演じた石田、そしてさすがの大御所大竹はいうまでもなく、井浦、椎名といった脇役まで熱演を繰り広げていたのにもったいない。東北の雪や山の緑は美しくとれていたのに。大森脚本も以前ほど切れがなくなったかなあ。いろいろ残念な作品でした。
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