2015年03月30日

陽だまりハウスでマラソンを

 高齢者の問題を、ドイツ映画らしくほろ苦いユーモアをまじえながらもきまじめに取り上げた作品。介護につかれている自分としては、痛いところをつかれて、素直に楽しめなかったところも。

 作品情報 2013年ドイツ映画 監督:キリアン・リートホーフ 出演:ディーター・ハラーフォルデン、タチア・ザイプト、ハイケ・マカッシュ 上映時間115分 評価★★★★(五段階) 鑑賞場所:ヒューマントラストシネマ有楽町 鑑賞日3月23日 2015年劇場鑑賞36本目



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 【ストーリー】
 パウル(ディーター・ハラーフォルデン)は50年前にオリンピックで優勝したこともある伝説のマラソンランナーだった。だが、妻のマーゴ(タチア・ザイプト)が病気になり、忙しい娘のビルギット(ハイケ・マカッシュ)の願いもあり、夫婦で老人ホームに入ることに。

 しかし、かわいそうな年寄り扱いされ、終の棲家として死を待つだけなのに規則がうるさいホームに反発。もう一度マラソンを始めると宣言する。施設側はやめさせようとして、周囲からも冷ややかにみられるなか、マーゴのサポートで、次第に他の入居者たちも彼を応援していく。だが…

 【感想】
 割と前半で、トレーニングが盛り上がり、施設の若い職員トビアス(フレデリック・ラウ)とのマラソン勝負に勝つあたりは、単純な感動なものかと思ってましたが、さすがドイツ映画。後半はさまざまな現実が突きつけられてきます。

 非常に難しいと思ったのは、施設の介護士、ミュラー(カタリーナ・ローレンツ)の扱い。施設側からすれば、事故があったら責任問題になるわけだし、パウルの行動が他の入居者にも波及して、みんなが好き勝手なことをすれば、収拾がつかなくなってしまいます。しかし、彼女はお年寄りたちを可哀想におもっており、善意でパウルの行動を止めようとします。問題はお年寄りも同じ人間だということを忘れて、一方的に可哀想な下にみられる存在だということ。こういう善意の押しつけってえてしてそうなりますよね。

 また、娘のビルギットも、両親のことが好きだけど、自分の生活もあり、両親の介護に自分の人生を束縛されていると考えています。パウルが家事を手伝おうとしてうまくいかず、余計にビルギットを苛ただせる場面は、身につまされました。これも本当に難しく、介護と自分の人生をどこで折り合いをつけるかは正解がないのですね。ビルギット自身も疲れ切って親の面倒をみられない自分に自己嫌悪に陥っている。このあたりの感覚は介護をしてみないと分からないでしょう。

 一方、高齢者のほうからみると、年を取っても若い人と違うわけではなく、人生は終わりの瞬間まで楽しむ権利がある。もちろんその通りなんですが、周囲の人にどれだけ迷惑をかけていいのか、という線引きも微妙です。パウルが初期の認知症にみえるところもあり、こういう場合、施設の善意の押しつけのほうが、本人のためにとって良い場合もあるのではないかと思ってしまいます。でも、だからといって高齢者を檻の中に閉じ込めるわけにも行かない。よくこれだけ答えのでない問題を、エンターテインメントに仕上げたと思います。

 ベルリンマラソンのシーンは、78歳のディーター・ハラーフォルデンがトレーニングして、実際に走った場面もあります。彼はドイツでは有名な芸能人なので、本人の演技よりも、周囲の本物のランナーがいかに自然に振る舞えるかが大変だったみたい。実際、マラソン大会に参加して、隣で西田敏行とかが走っていたら、ぎょっとして振り向いてしまいますよね。しかも一発撮りなわけだから、難易度の高い撮影をこなせたと素直に拍手したいなあ。

 高齢化社会の日本こそ、こういう映画を作って欲しいですね。実際、今年の東京マラソンの完走者で最高齢は90歳だったそうです。
posted by 映画好きパパ at 06:55 | Comment(0) | TrackBack(3) | 2015年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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Tracked: 2015-04-03 12:22

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