作品情報 2014年アメリカ映画 監督:フィリップ・ファラルドー 出演:リース・ウィザースプーン、アーノルド・オーチェン、ゲール・ドゥエイニー 上映時間:110分 評価★★★(五段階) 2015年試写1本目
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【ストーリー】
1983年、スーダン内戦で、親を殺され家を焼かれた子供たちは、1600キロも歩いて、仲間を失いながらも何とかケニアの難民キャンプに避難した。そこは命こそ安全なものの、将来への夢も希望もない場所だった。
2001年、アメリカは人道支援の一環として、今は青年となったキャンプの孤児たちを移住させる計画を始める。カンザスシティの職業紹介所の職員、キャリー(リース・ウィザースプーン)は、マメール(アーノルド・オーチェン)たち3人の難民を受け入れ、自立を支援することになる。だが、電話も知らなければピザもハンバーガーも知らない3人は都会にとまどうばかり。けれども、キャリーは3人が自分たちの忘れたかけがいのないものを持っていることに気づいていく。
【感想】
スーダン内戦については「風に立つライオン」でみたばかりですが、冒頭、子供たちのグループが命がけで避難する描写は目を覆わんばかりの悲惨さ。親や兄弟を殺された上、避難の最中も、ゲリラや厳しい自然が襲いかかり、何人もの仲間が倒れていきます。
それが一転、アメリカに移ってからはカルチャーギャップのほうに物語はうつります。生まれて初めてピザを食べて「神様、こんなに美味しいものを食べるのは生まれて初めてです」と感謝したり、キャリーがキャリアウーマンなのを聞いて「女性ひとりで生き延びるのはすごいサバイバル能力だ」と感心したり。このへんは、実際にスーダン内戦を生き延びた「ロストボーイズ」への綿密な取材がもとになっているのでしょうが、ギャップは笑えるとはいえ、それほど嫌みには思えませんでした。
しかし、残飯をあさるホームレスを追っ払うスーパーの店長に抗議するあたりから、結局、アフリカの彼らは文明の利器にはうといけれど、純真な心を持ち続け、物質にまみれたアメリカ社会はよくない、というようなトーンに終始しているように感じられてしまいました。むろん、キャリーの孤軍奮闘も含めて、やさしい目線でつつまれているので、説教くささは薄いです。でも、中盤以降のストーリーテリングはちょっとありきたり。
そして、クライマックスですが、うーん。良い話であるのはわかるし、国際情勢からすれば一人の難民の運命なんてちっぽけなものだというのは分かるのですけど…。やはり、感動の押しつけというか、善意の押し売りみたいなものが見え隠れするんですよね。題材は貴重なだけに、ちょっと調理方法がもったいない気もしました。
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