2015年06月06日

ジェームス・ブラウン〜最高の魂(ソウル)を持つ男〜

 アメリカの伝説的なソウルシンガー、ジェームス・ブラウンの伝記映画。現在と過去をコンパクトにまとめ、僕のように彼のことを全然しらなくても、最後まで楽しめました。音源はJBのものを使っているため、彼のファンも楽しめそうです。

 作品情報 2014年アメリカ映画 監督:テイト・テイラー 出演:チャドウィック・ボーズマン、ネルサン・エリス、ダン・エイクロイド 上映時間139分 評価★★★★(五段階) 鑑賞場所:TOHOシネマズららぽーと横浜 鑑賞日5月30日 2015年劇場鑑賞77本目



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 【ストーリー】
 母親(ヴィオラ・デイヴィス)に捨てられ、極貧の中で育ったジェームス・ブラウン(チャドウィック・ボーズマン)。彼の運命は、窃盗で収監中の刑務所に、ボビー・バード(ネルサン・エリス)率いるゴスペルグループとの出会いで代わった。

 ボビーに保証人になってもらい仮釈放をはたしたJBは、彼らとともにフェイマス・フレイムズというバンドを結成する。やがてメジャーからスカウトされるが、JBのみをほしがるレコード会社に他のメンバーは反発、ボビーを残して脱退してしまう…

 【感想】
 JBについては、ゲロッパというCMにでてくるおじさんという印象しかありませんでした。マイケル・ジャクソン、プリンスら多くのアーティストに影響を与えた偉大な歌手で、本作の音楽プロデューサーもミック・ジャガー。そのせいか、若かりし頃のローリング・ストーンズが、あこがれのまなざしでJBの演奏を見つめるカットもありました。でも、トリはローリング・ストーンズというのは笑えましたが。

 極貧の子供時代のフラッシュバックが非常に効果的。天才的な才能をもちながらも、親の愛情もしらず、犯罪に走らざるを得なかったことが、彼の人格を形成したことがよく分かります。自分の才能には絶対的な自信をもち、他人は召使としか思わない一方、貧困に苦しむスラムの子供たちにチャリティーを行う。

 この手のミュージシャンの伝記映画にしては異例なのは、政治や社会への影響をも描いていること。キング牧師が暗殺された直後、全米で黒人の暴動が起きた。ボストン市長は予定されていたJBのコンサートを中止しようとするが、JBはこのようなときこそ、コンサートでキング牧師を平和的に追悼しようと呼びかける。JBが音楽シーンならず、黒人の代表となっていることの象徴でした。

 その一方で、ワンマンで妻にはささいなことで暴力をふるったり、同じ楽団のメンバーの給料は払わないのに、自分は脱税をしていたり。そうした人間的な欠陥もあますことなく描いたので、JBの人間的な複雑さというのがよくわかり、同時に、このような人でないと偉業はできないと実感しました。特に、晩年の孤独さ、常軌を逸したような行動は、どこまで史実かわかりませんが、(Wikiの記述とはかなり違う)、銃を発砲して警官隊に逮捕されるところまできちんと描いています。そして、ラストは人間の価値とは何かを考えさせられ、胸が熱くなりました。

 人間の運命というものも考えさせられました。もし、ボビーと刑務所で出会わなければ、JBはただの犯罪者で終わったでしょうし、その後も、レコード会社のスカウトとレストランで偶然出会ったり、ベトナム戦争の慰問に出かけた際、乗っていた飛行機が撃墜されそうになるなど、こうした強運というのも偉人になるのは不可欠なことなのかもしれません。

 圧巻は音楽シーン。チャドウィック・ボーズマンのダンスパフォーマンスはただただ見事で、まるでJBがよみがえったよう。そして、曲もふんだんにちりばめているので、彼の歌をまともに聴いたことのなかった僕も、そのパワフルさにびっくりしました。ぜひとも音響が整った映画館で見るべき作品でしょう。
posted by 映画好きパパ at 06:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | 2015年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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