マッドマックス 怒りのデス・ロード

　30年前の名作シリーズが復活しました。とにかく、何かわからないけれどものすごいものを見たというのが率直な感想。監督は旧作と同じジョージ・ミラーですが、30年たってもこんなハイテンションのものを作れるというのはすごいですね。IMAXで見たかったなあ。

　作品情報　2015年オーストラリア映画　監督：ジョージ・ミラー　出演：トム・ハーディ、シャーリーズ・セロン、ヒュー・キース＝バーン　上映時間120分　評価★★★★★（五段階）　鑑賞場所：ＴＯＨＯシネマズららぽーと横浜　2015年劇場鑑賞93本目



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　【ストーリー】
　核戦争後の荒廃した世界。元警官のマックス（トム・ハーディ）は家族を守れなかったことがトラウマとなり、改造車に乗って荒野をさまよっていた。独裁者イモータン・ジョー（ヒュー・キース＝バーン）の軍団に捕まり、彼らの輸血袋として奴隷のような身に落とされる。
　
　ジョーの部下の女戦士フュリオサ（シャーリーズ・セロン）が、ジョーに反逆を起こし、とらわれていた５人の妻とともに逃亡を図った。ジョーたちの軍団はフュリオサを追いかけ、マックスもいや応なしに連れて行かれてしまう。

　【感想】
　オリジナルのマッドマックスのうち、１、２は子供のころ見た記憶があるのですが、忘却のかなたに。けれども、前作をみてなくても全然問題ないと思います。冒頭の荒野にマックスがたたずみ、トカゲをひねりつぶして食うシーンから、完全に異世界につれてかれました。

　荒野で水と石油を支配するジョーの異形な様子もそうですし、人間を輸血袋にするというのもすごいですが、劇中、なぜそんなことが起きるか具体的な説明はありません。ただただ、荒野と、まさにマッドな登場人物たちの行動をあんぐりと見続けるばかり。ストーリーはどっかへ行ってしまい、最初から最後までノンストップのアクションにしびれればいい。

　その改造車だらけのカーアクションもすさまじい。体当たりや火炎瓶攻撃は当たり前。なぜか大型トレーラーの前部にエレキギターを乗った男がのって、攻撃のたびにジャンジャンかき鳴らすとか、戦士がみんな白塗りの大駱駝艦のような格好をしているとか、５人の妻は超エロいのに、フュリオサはセクシーさを封印とかいろいろ言いたいこともあるのだけど、みんな壮絶なアクションにふっとんでしまいます。

　マックスが大暴れするのかと思いきや、前半は捕まっているので、ジョーとフュリオサの追跡劇が主役。マックスが鎖を切ろうと何度もヤスリをゴシゴシしているだけなのは笑えます。後半はマックスのニヒルなアドバイスに加えて、パワフルなおばあちゃん軍団も現れ、ひたすらのバイオレンス。嫌なことがあったときのストレス解消にはぴったりです。

　また、ジョーの部下だけど、ある事情からフュリオサ側につくニュークス（ニコラス・ホルト）が、序盤のジョーへの盲目的な忠誠とヒャッハー愛が、徐々に人間らしくなっていくのも見所。たんに暴れるだけでなく、マックスも含めた主要人物が物語の中でしっかり成長していくというのは王道的で実に気持ちがいいものです。

　トム・ハーディの寡黙さゆえに、こちらが主役ともいうべきシャリーズ・セロンは「モンスター」のときから、自分の美貌にうらみでもあるのか、今回も丸刈りと変な役ばかりやっており、その集大成的な役柄。本人も満足だったのではないでしょうか。