作品情報 2014年日本映画 監督:呉美保 出演:高良健吾、尾野真千子、池脇千鶴 上映時間121分 評価★★★★(五段階) 鑑賞場所:テアトル新宿 2015年劇場鑑賞109本目
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桜ケ丘小学校4年の担任、岡野(高良健吾)は、新任でまじめなものの、児童たちからはなめられ、モンスターペアレントにも悩まされていた。
近くに住む主婦の雅美(尾野真千子)は夫の単身赴任中で、3歳の娘あやね(三宅希空)と二人暮らし。ストレスがたまる生活のうえ、自分も幼いころに児童虐待の被害者だった雅美はつい、あやねに手を挙げてしまう
【感想】
尾野真千子といえば、テレビドラマ「Mother」のDV母で、一躍有名になりましたが、それから5年たち、同じような役柄が回ってきました。その間に、朝ドラのヒロインなどトップ女優になりましたが、正直、「Mother」のDV母のほうが、見ているこちらを引きつけたと思います。本作は、友人役の池脇千鶴も含めて、DVとはこういうものだという役柄を演じているような気がしてしまいました。
それは、岡野も同様で、岡野という小学校の先生が実際にいるのではなく、小学校の先生役を演じている高良としかみえなかった。これは演出よりも、脚本で、DV母、まじめだけど非力な小学校の先生という役柄がステレオタイプなものを超えられなかったためだと思えます。
しかし、子役たちは逆に言うと、子どもの数だけ役柄が違うのだから、実に自然でした。岡野のクラスの子供たちに出された宿題は、突然、ドキュメンタリータッチの撮り方になったこともあり、子役の演技ではなく、素の子供たちに見えてなりません。また、あかね役の三宅希空は、トラウマにならないかとこちらが心配するほどの、尾野の鬼母ぶりにしっかりと応えており、Motherの芦田愛菜の演技を上回るほどにみれました。
もう一つ、痴呆症を恐れる独居老人(喜多道枝)の話も、メインストーリーの一つですが、こちらは、「良い話」で完結していい種類でしょうから、気になりませんでした。やはり、残る2つの児童虐待については、もうちょっと踏み込んでみたかったかもしれません。
また、明るさがみえるようなラストも、現実ではどうなるのかは首を捻らざるをえません。現実のほろ苦さを感じさせるためかもしれませんが、放置されたエピソードもあったのも、ちょっと残念でした。
それでも、ほとんどの人間の善良な部分を信じさせるという姿勢は、世知辛い今の世の中に求められているといえます。「ここのみて〜」で悲惨な役だった池脇と高橋和也がラブラブの夫婦を演じているのも、楽屋ウケですが、妙にほっこりしました。
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