作品情報 2014年アメリカ映画 監督:ジャン=マルク・ヴァレ 出演:リース・ウィザースプーン、ローラ・ダーン、トーマス・サドスキー 上映時間116分 評価★★★★(五段階) 鑑賞場所:TOHOシネマズシャンテ 2015年劇場鑑賞129本目
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【ストーリー】
最愛の母(ローラ・ダーン)を亡くして精神的に不安定になったシェリル(リース・ウィザースプーン)は薬物と不特定多数の男にはまり、夫のポール(トーマス・サドスキー)とも離婚してしまう。
どん底に陥った彼女は、メキシコ湾からカナダ国境までの1600キロを歩くパシフィック・クレスト・トレイル(PCT)に挑戦し、自分の人生を見つめ直すことにする。それはしゃく熱の砂漠から高度数千メートルの雪山まである、想像を絶した過酷な旅だった。
【感想】
実話をもとにしているので、あまり改変はできないのだろうけど、母の死がショックで自分の精神がおかしくなるというのは、アメリカではよくあるのでしょうか。幼い頃ならともかく、結婚までしているのに結構びっくり。もちろん、DVの父親から母子で逃げ出し、愛情を持って育ててもらったことは描かれますけれど、男の僕にはぴんとこなかったな。
ただ、そんな動機への疑問を吹き飛ばすくらいロードムービー部分は素晴らしい。まず、アウトドアに無縁の彼女は、最初はテントの張り方も分からず、コンロをもってきても燃料を間違えて使えない。さらに、あれもこれもと欲張って、荷物が大過ぎて体力も消耗します。こうした初心者で、2、3日で挫折するかもと思った彼女が、ひたすら歩き続ける姿は感動を覚えます。僕もだれも通らない山頂で大声で叫んでみたいなあ。ここは実にうらやましかった。
何日も人っ子一人通らない山道を若い女性が一人で野宿するのは危険ではと思うし、実際、危機にもあったりするのだけど、それでも、歩くうちに次第に自然にうまく溶け込めるし、基本的には善人が多いアメリカの田舎の人たちとのふれ合いも実に味があります。
「ダラス・バイヤーズクラブ」のジャン=マルク・ヴァレ監督は、山歩きをしながら、彼女の過去をフラッシュバックで織り込むことで、なぜ、彼女がこういう決断をしたか、観客の心に納得させるようにしています。最初に書いたように母の死についてはピンとこなかったけど、でも、彼女がこうなっても不思議ではないとぐらいは思わせてくれました。このへんは、観客自身の親子関係によるものかもしれません。DVのトラウマは正直、部外者にはわからないし。
リース・ウィザースプーンはオスカーをとった「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道 」以来、10年間もぱっとしなかったけど、これはオスカーノミニーも納得の体当たりの熱演でした。また、出番は少ないけれどローラ・ダーンの母親役も実に良く、苦しいことだらけの人生でも前向きに生きることの大切さを思い出させてくれます。挿入されているサイモン&ガ−ファンクルの名曲「コンドルは飛んでいく」も良かったなあ。人生に疲れているときなどには最適な作品だし、大自然を堪能するためにも映画館でみることをオススメします。
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