2015年10月02日

ピエロがお前を嘲笑う

 警察に出頭してきた犯人が語る事件の真相は、真実かそれともでたらめか。「ユージュアル・サスペクツ」を彷彿とさせるサスペンスですが、宣伝で「ラストに騙された」をうたいすぎていて、正直肩すかし感もありました。

 作品情報 2014年ドイツ映画 監督:バラン・ボー・オダー 出演:トム・シリング、エリアス・ムバレク、ハンナー・ヘルツシュプルンク 上映時間106分 評価★★★★(五段階) 鑑賞場所:新宿武蔵野館 2015年劇場鑑賞148本目



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 【ストーリー】
 ドイツ政府や大企業を次々にハッキングして大騒ぎを起こし、殺人事件にも関与の疑いがある謎のハッカー集団「CLAY」。そのメンバーだというベンヤミン(トム・シリング)が警察に出頭してきた。彼の指名により、ユーロポール(欧州刑事警察機構)のサイバー犯罪捜査の責任者、ハンネ(トリーヌ・ディルホム)が取り調べにあたることになる。

 子供の頃から目立たないいじめられっ子だったベンヤミンは、パソコンだけが友達だった。ある日、片思いの学生マリー(ハンナー・ヘルツシュプルンク)のために、大学にハッキングして試験問題を盗もうとして逮捕される。そこで知り合った野心家のハッカー、マックス(エリアス・ムバレク)から、自分たちの仲間になって世間を騒がせようと勧誘され、天才的な手腕を発揮する。だが、思わぬミスから危機に陥ってしまう。

 【感想】
 取調室のベンヤミンとハンネが中心で、ベンヤミンの供述にそって過去が回想されるという形をとっています。しかし、ベンヤミンが本当のことをいっているのか、それともでたらめなのか、ハンネにも観客にも分かりません。

 しかも、映像が実にスタイリッシュ。地味なベンヤミンが、イケイケドンドンのマックスに誘われているうちに、どんどんアグレッシブになっていき、ハッキングもゲームのように次々とやっていくクライム部分は、ガンガン流れるユーロビートの音楽や、しつこいほどのカット割りの効果があり、こちらも興奮していきます。これが虚実本当なのか分からない幻想世界につれていかれる効果は十分。

 冴えない青年の成長と挫折とみてもよくできており、マリーに話しかけるのもやっとだったベンヤミンが、ハッキングの成功で麻薬も窃盗も平気な大物になった気になって、無敵感で調子に乗りすぎたところでしっぺ返しをうけるというのは、さもありなんという感じでしょうか。

 ハッキングの部分もよく取材しているみたいで、手口も実際に起こりそうなあざやかなもの。この手の映画でありそうな荒唐無稽のハッキングではありません。その一方で、他のハッカー仲間の交流は、デヴィッド・リンチの映画にでてきそうなウサギなどの着ぐるみをかぶったハッカーたちが、地下鉄車内でラインのような吹き出しで会話するという、まるで薬でハイになったような仮想世界の映像が続きます。まさに、どっぷりとこの世界にひたってしまいました。

 しかし、ラストがちょっと苦しい。確かに意表を突くものですが、よくよく考えると、ユーロポールの捜査はかなり手落ちがあると思わされますし、いくつもの可能性を考えると、その想定内であることは事実なので、「ファイトクラブ」のようにすかっと一本背負いを食らう気持ちだったのに、消化不良感が否めません。もっとも、タイトル通り、そんな気持ちの良い思いを期待しに来た観客たちを、ピエロは嘲笑っているのかもしれませんが。
posted by 映画好きパパ at 06:25 | Comment(2) | TrackBack(11) | 2015年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
確かにユーロポールがあまりに手落ちがあり過ぎでしたね。
あれじゃあ小僧の騙しを見抜けないわ。
地下鉄内をネット上の世界に見立てたのは面白かったですね。
それにしてもマリーが可愛いくなかったなあ。
Posted by ミス・マープル at 2016年01月18日 15:30
コメントありがとうございます。
ワン・アイデアを狙うために、周囲の描写が
おろそかになった感じでしょうか。
マリーが美人でないというのは、
リアルさを少しでも出そうと言うことかもしれません
Posted by 映画好きパパ at 2016年01月18日 15:55
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