作品情報 2015年アメリカ映画 監督:ダン・フォーゲルマン 出演:アル・パチーノ、アネット・ベニング、ジェニファー・ガーナー 上映時間107分 評価★★★★(五段階) 鑑賞場所:角川シネマ有楽町 2015年劇場鑑賞151本目
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【ストーリー】
ベテランのロックスターのダニー(アル・パチーノ)は、最近では曲も作らず、かつてのヒット曲で食いつなぐ毎日。それでも、年配者を中心に熱狂的なファンが多く、酒と女に麻薬にというロックスターらしいの生活は続けられた。誕生日のサプライズとして、マネージャーのフランク(クリストファー・プラマー)から、思いがけないプレゼントを贈られる。なんと43年前、ダニーが「尊敬するアーティストはジョン・レノン」とのインタビュー記事を読んだジョン・レノンが、彼に励ましの手紙を送っていたのだ。
ところが、手紙は雑誌の編集者が横取りしてコレクターに売りつけてしまい、ダニーの手元に届くまで40年以上もかかったのだ。「もし当時、ジョンからの手紙を読んでいたら、もっとまじめに音楽に取り組んでいたかもしれない」と反省したダニーは、30年ぶりに曲作りに取り組むことを決意。同時に、一夜の愛人に生ませてしまい、顔もみたこともない息子のトム(ボビー・カナヴェイル)に会いに行くことを決める。
【感想】
人生をやり直すには遅すぎることはない、でも、ぐずぐずしていたら間に合わない。こんなことを強く思わせてくれました。ダニーは地位も名声もあるとはいえ、堕落した日々に内心うんざり。さらに、虚飾を払ったときに自分が大事なものは音楽と家族であることに気づきます。本当の自分になるなんてありふれた言葉だけど、ダニーの気持ちは見ているこちらにも伝わってきます。
トムには最初拒絶されるけれど、トムの妻サマンサ(ジェニファー・ガーナー)は、ダニーもトムも内心では親子の絆を取り戻したいことに気づき、そっとアシストします。ジェニファー・ガーナ−ってアクション女優のイメージがあったのだけど、こんな家庭的な役をやれるとは思いもしませんでした。そして、2人の幼い娘ホープ役のジゼル・アイゼンバーグが、実にかわいらしい。どんなに豪華な生活を送っていても、こうした家族の幸せにふれたことがダニーの内心を変えさせてくれたのでしょう。
そのダニー役を、アル・パチーノが楽しそうに演じています。大スターなのに気さくで、レストランで隣のテーブルの客に頼まれれば一緒に写真をとってあげる。滞在先のホテルでも、若いフロント係(メリッサ・ブノワ)と軽口をたたきながらも、支配人のメアリー(アネット・ベニング)をちゃんとした人間とみて友情をはぐくむ。うまいなあと思ったのが、徐々に関係を深めていったメアリーが、ある理由から、突然ビジネスライクな口調に変わったことです。このメアリーとダニーのかけあいが実にいい。ベテランのうまさを手堅く演出したのは、フォーゲルマン監督の新人らしからぬ手腕でしょうか。
ごてごてと感動ストーリーに仕立て上げず、それでいて、結構、イベントが山盛りで入っています。このへんの交通整理もフォーゲルマン監督は脚本家出身だけにお手の物か。最初から最後まで、ハートフルに面白く見られました。ラストシーンも、いかにもセンスを感じさせました。
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