作品情報 2014年フランス映画 監督:エリック・ラルティゴ 出演:ルアンヌ・エメラ、カリン・ヴィアール、フランソワ・ダミアン 上映時間105分 評価★★★★(五段階) 鑑賞場所:ヒューマントラストシネマ有楽町 2015年劇場鑑賞173本目
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【ストーリー】
フランスの農村に住む女子高生、ポーラ(ルアンヌ・エメラ)の両親(フランソワ・ダミアン、カリン・ヴィアール)と弟(リュカ・ゲルベルグ)は耳が聞こえなかった。唯一耳が聞こえるポーラは、学校に通う傍ら、家族のために収穫した農作物の売り子や電話のやりとりもしなければならず大忙し。
あこがれの同級生、ガブリエル(イリアン・ベルガラ)が合唱部に入ったことから、彼女も忙しい家業の合間を縫って合唱部に入部する。ところが、彼女には天才的な音楽の才能があった。音楽教師のトマソン(エリック・エルモスニーノ)は、彼女にパリの音楽学校を受験するよう薦める。しかし、自分がパリへいったあとの残された家族の生活を考えると、踏ん切りがつかない。自分の夢と家族の世話と、彼女の選んだ道は…
【感想】
両親と弟はフランスらしくHな発言と行動満載で笑えましたが、ポーラだけは唯一奥手できまじめ。家族からも子供にみられています。一方、農作物を売るにも、電話で農機具を注文するにも、しゃべれるポーラがいなければ何もできません。一家はある種の共依存に陥っていました。
特に、母のジジにとって、ポーラはまだまだ自分のかわいい赤ちゃん。それなのに、家族を捨ててパリにいくことは、自分自身への裏切りとしか受け取れません。家族が素直に応援するのでなく、お互いのエゴをぶつけあうというのも、またフランス映画らしくていいかも。脇筋に見える父のロドルフが村長選に立候補する下りは、人間の自立の必要性を示しており、うまく盛り込んでいると感心しました。
ポーラにとって歌は自分の夢をかなえるとともに、恋するガブリエルと一緒に過ごすチャンス。その一方で、家族のことは大好きで、自分がいなくなったあとは心配でたまらない。その悩みを家族や友人にぶつけながらも、彼女が成長していく様子は、見ていて気持ちがいいですね。
主役のルアンヌ・エメラは、フランスで大人気の歌手で映画は初出演。撮影当時は16、17歳だったでしょうから、ポーラの悩みを等身大で演じており、演技の巧拙よりもみずみずしさが印象的でした。ちょっと太めであるところも、きさくな美人という感じで好感をもてます。何より本職である歌声が素晴らしい。サントラもぜひ聴いてみたいところです。両親、教師もフランスを代表する演技派で固めており、安心してみられるエンタメでした。
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