2015年12月29日

杉原千畝 スギハラチウネ

 日本のシンドラーと呼ばれ、リトアニアの領事館勤務時代に大量のユダヤ難民を救った杉原千畝の伝記映画。僕も知らなかったのですが、彼は諜報活動のスペシャリストでもあり、ナチス、ソ連双方から警戒されていたとか。ユダヤ難民救出が中心ですが、情報活動もきっちり描いており、勉強になりました。

作品情報 2015年日本映画 監督:チェリン・グラック 出演:唐沢寿明、小雪、ボリス・シッツ 上映時間:139分 評価★★★★(五段階) 鑑賞場所:TOHOシネマズららぽーと横浜 2015年劇場鑑賞193本目



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 【ストーリー】
 第二次大戦直前、満州国の外交部で働き、諜報活動を担当していた杉原千畝(唐沢寿明)は、ソ連との交渉に成功するものの、関東軍の手で仲間を殺され、抗議のため辞職する。

 外務省に復帰した杉原は知人の妹の幸子(小雪)と結婚。ソ連への赴任を命じられるが、ソ連から「好ましくない人物」と拒否され、隣国のリトアニア勤務となり、独ソの状況を探ることになる。ナチスドイツのポーランド侵攻で、ポーランドのユダヤ人が大量に脱出してきた。だが、ビザがなく、ソ連のリトアニア併合のため、欧米諸国も相次いで公使館を閉鎖した。難民達は日本領事館へ助けを求める。本国からの命令を無視して、杉原は日本へのビザを交付することを決める。

 【感想】
 序盤の鉄道内でのスパイごっこや、関東軍の陰謀などは、ちょっとちゃちすぎて、この先どうなるかと不安になりましたが、杉原が諜報のプロだということを知らなかったので、その後の活動はすごい新鮮になり、帰宅後、ネットでいろいろ調べて驚きました。この杉原の情報をまったくいかせず、なおかつ、敗戦後は冷たい扱いをした日本の外務省は本当にダメな役所だと改めて実感しました。

 リトアニア時代については、オランダ領事館との連携など史実のエピソードを盛り込んでおり、当時のユダヤ人虐殺の状況を盛り込むことで、外交官ではなく人間としての杉原をクローズアップしているのに好感が持てました。ポーランド亡命政府の諜報機関との協力も史実だそうで、いろんな意味で驚きました。

 その杉原の決断を支えた夫人や子供たちの描写も控えめな描写だったのが良かった。また、名もないユダヤ人少女と彼女を救った女性の物語や、杉原から避難を呼びかけられたのに、行動が遅れてナチスに虐殺された一家など、実際に当時あったであろう、ユダヤ人たちの行動もさまざまな視点から描いています。

 また、ユダヤ人を救ったのは杉原だけでなく、ウラジオストック領事館の根井領事代理(二階堂智)やJTBの船員(濱田山岳)のこともすくい上げいるのも、制作側の真摯な姿勢を感じました。杉原を批判する勢力もいるけど、リトアニア時代のポーランド人部下も含め、彼に共感する人もいたことも忘れてはなりません。

 唐沢は英語でのシーンが多かったけど、違和感なく、信念の外交官を見事に具現していました。また、ポーランドのキャストは何げに向こうスターを使っており、杉原の運命をある意味変える、満州時代の諜報員イリーナ役のアグニェシュカ・グロホフスカはワイダ監督の新作「ワレサ」のヒロイン。こうした、現地キャストの演技も見応えがあります。日本語と英語の字幕がついたり、エンディングロールがすべて英語など、海外配給を意識した作りになっています。杉原の軌跡がこの映画で世界中に広がればうれしいです。
posted by 映画好きパパ at 06:56 | Comment(0) | TrackBack(7) | 2015年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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