作品情報 2015年日本映画 監督:田中光敏 出演:内野聖陽、ケナン・エジェ、忽那汐里 上映時間:132分 評価★★★★(五段階) 鑑賞場所:TOHOシネマズららぽーと横浜 2015年劇場鑑賞194本目
ブログ村のランキングです。よかったらポチッと押してください
にほんブログ村
【ストーリー】
1890年、和歌山県紀伊大島沖で台風に遭遇したトルコ軍艦「エルトルール」号が沈没し、多くの乗組員が海に投げ出された。島民たちは自分たちの命も省みず、村の医師・田村(内野聖陽)の指示のもと、懸命に救助活動にあたった。乏しい食料を分け与え、村が一丸となった姿は生き残った乗組員のムスタファ(ケナン・エジェ)に強い感動を与えた。
1985年、イランイラク戦争の激化で、イラクのフセイン大統領は、48時間後にイラン上空の飛行機への無差別攻撃を開始すると通告する。テヘラン在住の外国人は避難を始めるが、日本は危険地帯へ飛行機を飛ばせないと、日航も自衛隊も救助を拒否。行き場のなくなった日本人達にトルコ航空が救援機を出すことになる。だが、トルコの避難民もまだ多くイランにいた…。
【感想】
トルコではエルトルール号の逸話は教科書にのっているそうで、あまり感動を前面に打ち出さないようにしているためか、1985年のエピソードで、エルトルール号への直接的な言及はありません。さらに、物語の構成自体は、タイトル通りエルトルール号事故にシフトしており、ちょっと両者の結びつきが弱いように感じました。
それでも、100年前の和歌山の漁民達の善行が子孫を助けるという実話は、見ているこちらの心をうちます。予告編でも流れていますが、トルコ人の男の子が、疲れ切った日本人少年の手を引くシーンは泣きそうになりました。
エルトルール編では、航海の様子や乗組員のキャラをしっかりわけており、トルコ側のシーンも豊富です。さらに、貧しい村の赤ひげ的な医師で、英語もぺらぺらというスーパーマンみたいな田村を置いたことで、救出劇がドラマとしてまとまった感じで見られました。日本の宴会シーンと船の沈没シーンをカットバックで映し出し、金魚があふれるような演出も面白かった。
ただ、132分あっても、まだ描ききれなかったところがあり、例えば金持ちの嫌みな医師(竹中直人)とか、イラン編では飛行機がトルコ領に入るまでの緊迫シーンとかがあってもよかったかな。
内野はいつもながらの安定した演技ですが、和歌山の口のきけない村娘と、イランの日本人学校教師の二役を演じた忽那汐里が好演。また、ケナン・エジェもイラン編に大使館職員役で出てきており、二つの時代がつながることの象徴になっていましたが、前述のように、ここをもう少しドラマティックに描いてもよかったかな。エンディングロールでは現在の紀伊大島の様子なども流れるので、お見逃しなく。
【2015年に見た映画の最新記事】