作品情報 2015年アメリカ映画 監督:スティーヴン・スピルバーグ 出演:トム・ハンクス、マーク・ライランス、エイミー・ライアン 上映時間:142分 評価★★★★(五段階) 鑑賞場所:TOHOシネマズ川崎 2016年劇場鑑賞13本目
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【ストーリー】
米ソ冷戦中の1957年。ニューヨークの敏腕弁護士、ドノヴァン(トム・ハンクス)は、上司からの命令で、ソ連のスパイ容疑で逮捕されたアベル(マーク・ライランス)の弁護を担当する。スパイを弁護することで、脅迫までされたドノヴァンだが屈することなく、死刑は当然と思われた判決を懲役刑まで減刑することができた。
一方、米軍の秘密偵察機U−2がソ連上空で撃墜され、パイロットのパワーズ大尉(オースティン・ストウェル)がスパイ容疑で逮捕された。米ソはパワーズとアベルの交換を計画するが、非公式の交渉のため、ドノヴァンにその任務が託された。交渉の場所は東ベルリン。身の安全も保障されない危険な交渉にドノヴァンは一人赴く。さらに、そこへベルリンの壁を越えたアメリカ人留学生プライヤー(ウィル・ロジャース)がスパイ容疑で逮捕されたとの連絡が入る。
【感想】
映画では描かれていませんが、ドノヴァンは戦時中OSS(CIAの前身)の顧問弁護士だったそうで、国際政治にまったくの素人というわけではないようです。だから、アベルの減刑を成功させる策略も練れたのでしょうが、それはさておき、周囲の圧力や脅迫にも負けず、自分の信念=アメリカは法治国家であり、それに従うのが正義である=を貫き通す、不屈の人物としての描写はさすがはトム・ハンクス、堂々たるものです。
ストーリーもうまい。冒頭のアベルがFBIの捜査にひっかかって逮捕されるシーンもそうですし、ドノヴァンが東ベルリンで逮捕される描写もそうですが、銃撃戦など一切無いのに、ものすごい緊迫感あふれるシーンが続きます。このような場面でドイツ語やロシア語に日本語字幕を付けず、ドイツ語で怒鳴られても、何を言われているのか分からないというのも効果的でした。本当のスリルとは、爆薬とかに限らずできることをスピルバーグは熟知しています。
また、米ソ冷戦で核戦争への恐怖が高まった時期であることを、小学校の授業で核爆発の映像をみせて、女の子が怖がって涙を流したり、ドノヴァンの小学生の子供が核に関する知識に詳しいことなどから、さりげなく盛り込んでいるのも時代背景を分かりやすくしてくれます。今以上に、ソ連に対する憎しみ、恐怖が強い中、それを弁護するアベルの信念の強さがわかります。
そして、敵であるアベルに対しても、アベルが自分の信念を貫き、アメリカ政府への協力を断ることに、ドノヴァンが敬意を寄せるというのもいい。好敵手だから産まれる友情というのもよく分かります。アベル役の、マーク・ライランスはあまり知らない俳優でしたが、彼の演技も見応えがありました。
中盤以降は、ソ連との交渉に加えて、プライヤーを逮捕した東ドイツとの交渉も始まります。CIAはパワーズさえ解放されれば、留学生の命はどうでも良いと考えており、四面楚歌のなかで、どうやって2人を解放できるのか。タフネゴシエイターぶりも作品の見所でしょう。
シリアスな作品ですが、ドノヴァンが強盗にあってコートを取られて雪の中くしゃみばかりしていたり、英語がおぼつかない東ドイツ政府職員とのやりとりなど、ところどころ笑いどころも入っており、長丁場を最後まで飽きずに見られました。
【2016年に見た映画の最新記事】
そんな身上があったのでしたか。保険にからむ弁護をしていたことから、保険を掛けるという手法も考えついたのでしょう。
我々でも、負ける確率の高い賭けをするときに、別に勝てそうな賭けをして負けを補おうと「保険」を掛けることがあります。
その昔の「三億円事件」は、強奪された銀行が保険を掛けていて被害額を弁償したもらいました。更に、その損害保険会社は海外に再保険を掛けていて、結果的にわが国では損害を被らなかったそうです。
ただ、捜査に3億円以上を掛けてしまいました。
保険会社も、精緻な計算をしないと損をかぶるから、
再保険をかけたり大変ですね。
ドノヴァンは、ベルリンに行ったりして、交通費は
ちゃんと政府が払ってくれたのか、ふと気になりました。
そうか保険に絡む弁護をしていたから、保険を掛けることを思いついたのですね。
さすが弁護士だけあって、判事を説得するのに弁が立つと思ったらそんな経緯が
あったんだ。
冷戦時代のスパイへの取り調べって、あんなに生易しかったのかな、とそこだけは
気になりましたが、あとは面白かったです。
ソ連につかまったパワーズ太尉は結構拷問をうけていましたね。もしスターリンのころだったら、もっと激しい拷問だったかもしれませんが、ソ連も多少は文明化したのかもしれません。
保険に詳しい弁護士だから、確率、統計とか得意だったのでしょうし、法律家協会が選ぶだけあって同業者からも敏腕弁護士とみられていたのかもしれません