作品情報 2014年中国映画 監督:ピーター・チャン 出演:ヴィッキー・チャオ、ホアン・ボー、ハオ・レイ 上映時間:130分 評価★★★★★(五段階) 鑑賞場所:シネスイッチ銀座 2016年劇場鑑賞29本目
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【ストーリー】
2009年、中国の深センで小さなネットカフェを開くティエン(ホアン・ボー)の3歳の息子ポンポンが、目を離した隙に行方不明になってしまう。別れた妻のルー(ハオ・レイ)と必死に探すが、見つからない。
3年後、必死の捜索の末、ポンポンは発見されるが、生みの親の顔を忘れていた。一方、死んだ夫がポンポンを誘拐したことを知らずに育てていたホンチン(ヴィッキー・チャオ)は誘拐犯の妻として逮捕され、ポンポンとも引き裂かれてしまう。
【感想】
一人っ子政策や出稼ぎ労働者の問題から、中国では年間20万人もの子供が誘拐されるそうです。本作も実話をもとにしたストーリーで、ティエンの息子は無事発見されますが、彼が参加した被害者の会の他のメンバーは、だれも子供が見つかりません。そのため、代表のハン(チャン・イー)は、「これだけ活動したのに見つかったのは1人だけ」と慟哭し、こちらも、魂が凍えるような思いにかられます。
物語の前半はティエンとルー目線で、犯人は許せないし、なんとしても見つけて欲しいと思えます。2人は私財をなげうち、息子を解放するという詐欺師に命を狙われながらも、必死の思いで捜索活動をしていきます。小さい子供を持つ親としては、本当に見ているのがつらかった。
後半からはさらにしんどいシーンの連続です。誘拐したほうを実の親と思ってしまい、解放後も本当の親になつかないというのは日本でも「八日目の蝉」がありましたが、こちらは、双方の親に加えて、他の被害者も映し出していることから、重層的な物語になっています。そして、ホンチンの気持ちも伝わるので本当につらい。
さらに、ラストまですさまじい話の連続で、見終わったあとぐったりしました。親子とはなにか、法と正義とは何か、国情が違うとはいえ、みているこちらに突きつけます。また、経済発展のすさまじい中国のひずみというのも、みえてきて、日本に産まれて良かったともしみじみ。
ホアン・ボーは「西遊記」などのコミカルな演技を封印。どこにでもいそうな中年男だけに、必死ぶりが印象に残ります。また、ヴィッキー・チャオもノーメイクで田舎の無知で、子供(自分の実子ではないのですが)への愛情しかないような女性になりきっており、演技派として見直しました。また、ハオ・レイも「天安門、恋人たち」以来、久々にみましたが、美しく年をとっていたのにはびっくり。こうした中国を代表する名優陣の演技もみどころです。
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