2016年02月14日

ドリームホーム 99%を操る男たち

 リーマンショック後のアメリカを舞台に、住宅ローンが払えず家を追い立てられた男が、逆に不動産屋の手先の追い立て屋になるという社会派ドラマ。アメリカ社会の格差や金銭欲とは何か本源的なところを描いているけど、ラストがちょっと好みではありませんでした。、

 作品情報 2014年アメリカ映画 監督:ラミン・バーラニ 出演:アンドリュー・ガーフィールド、マイケル・シャノン、ローラ・ダーン 上映時間:112分 評価★★★★(五段階) 鑑賞場所:ヒューマントラストシネマ有楽町 2016年劇場鑑賞30本目 



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 【ストーリー】

 母リン(ローラ・ダーン)と幼い息子のコナー(ノア・ロマックス)の3人で暮らす大工のナッシュ(アンドリュー・ガーフィールド)。不況で仕事先から給料をもらえず、住宅ローンを滞納。銀行から差し押さえ通知が来てしまう。

 裁判は同様の案件でいっぱいで、ナッシュの言い分は聞き入れられず、執行代理人として地元の不動産ブローカー、リック(マイケル・シャノン)が警官を引き連れ、有無を言わず追い出してしまう。3人で狭いモーテルに避難したナッシュたち。追い立ての際に工具を紛失されたため、リックのところに抗議にいくが、逆に大工の腕を買われ、差し押さえた物件の管理を任されるようになる。やがて、リックの片腕として、差し押さえの担当に昇格するのだが…

 【感想】

 本来悪役であるべきリックの人物造形がうまく、「ウォール街」のゴードン・ゲッコーを彷彿としました。自ら、貧しさ故に苦労した彼は、アメリカは「勝者の勝者による勝者のための国」(government of the winner, by the winner, for the winner)、「箱舟に乗れるのは1%、99%はおぼれる」というセリフは強力です。まさに現代社会の一面をあてています。彼の硬軟使い分ける姿、幼い娘にはベタ惚れなのに、愛人に多額の金を使う俗物ぶりも、人間ぽくってよい。
 一方、ナッシュは息子の目の前で家を追い出されるという屈辱を晴らすためにも、いつかはカネを貯めて自分の家を取り戻したいと固く誓います。そのためには、自分と同じような境遇の人たちを追い立てて、報酬をもらうこともいといません。他人に同情するより、自分と家族を守ることが大切なのです。

 リックと、彼に追い立てられる人たちの間には明確な差があります。リックは家なんて単なる箱で投資対象にすぎない。一方、追い立てられる人たちは、自分の家族の思い出として家に固執して、しかし、法律の知識もなければ、客観的に資産をみる能力もありません。自分は悪くないとだけ思い込んで、法律や政府(警察や裁判所)を味方につけたリックに追い立てられてしまいます。

 ナッシュも最初は自分の家を取り戻そうと固執していました。しかし、次第にリックに感化されていき、仕事を精力的にこなします。それによって大金は手に入るものの、昔ながらの感覚しかないリンやコナーと心が離れていくことになります。ナッシュは良心の呵責に苛まされることになります。実は、そんなナッシュをリックが切り捨てなかったのは、リック自身、どこか自分自身の行動にやましさをかんじていたのかもしれません。どんなに豪邸にすんでも、銃を肌身離さずもっているような生活じゃ、心の安寧はえられないでしょう。ラストシーンでのリックのセリフは本心のように聞こえました。

 さて、もったいなかったのは、リックはカネにがめついどん欲な資本家だけど、グレーな行為はじゃんじゃん行っても、明白な犯罪行為に手をそめてほしくなかった。だって、今後、アメリカのみならず世界中で格差は拡大するだろうし、そうなれば、旧来の善良だけで力の弱い生き方では生き残れないわけだから。だからこそ、リックのモラルでは悪だけど、強い生き方というのは一つのモデルになったろうに。まあ、そんなリックでも大資本の前ではしょせんコマの一つに過ぎないというのも一面の真実でしょうけど。いろいろ考えさせられました。

 
posted by 映画好きパパ at 16:37 | Comment(0) | TrackBack(6) | 2016年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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