2016年03月03日

俳優 亀岡拓次

 シュールな作品を撮り続ける鬼才・横浜聡子監督の新作。ただ、エネルギーが内にこもってしまって、突き抜け感がなかったかな。映画業界の楽屋話的おもしろさや、安田顕への愛は感じましたけど。

 作品情報 2015年日本映画 監督:横浜聡子 出演:安田顕、麻生久美子、山崎努 上映時間:123分 評価★★★(五段階) 鑑賞場所:ヒューマントラストシネマ渋谷 2016年劇場鑑賞38本目 



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 【ストーリー】
 売れない俳優の亀岡拓次(安田顕)。本人は仕事にも恋愛にも奥手で、切られ役やホームレスなど脇役ばかりだが、妙に個性的な役柄が多く、多くの監督やスタッフ、そして飲み仲間達から愛されている。

 長野県・諏訪にロケで訪れた亀岡は、ふらりと入った居酒屋の一人娘安曇(麻生久美子)に一目惚れ。だが、俳優というのも気恥ずかしく、ボーリング場のボールのセールスマンなどとウソをいってしまう。たわいのない会話がはずむ2人だが、やがてロケも終わり次の現場へ…

 【感想】
 当初は、まったく売れない俳優かと思っていたら、海外の世界的巨匠からも注目されるというおいしいところをもっており、多くの脇役俳優からすれば、理想の生活かもしれません。演技論があるわけでもなく、自然体で淡々とこなしていき、あまりに自然すぎる演技が、映画のテンポにあっているという、まさに映画に愛された男。

 でも、ちょっと離れてみると、ひとりぼっちの中年男で、結婚願望も強い。そんな彼に久々に訪れた恋のチャンスは、見ているこちらも、奥手ぶりにやきもきしつつも、応援したくなっちゃいます。売れない俳優仲間の親友、宇野(宇野祥平)との、中年同士の何とも言えない友情も素敵でした。また、ラストも、いかにも亀岡の人生を表しているようで、好感をもてました。

 ただ、俳優としてのシーンが多く、特に中盤に長々続く、海外映画のオーデションの場面とか、完全に内輪向けの抽象的なものになっており、そのパワーがもっと目に見えるような感じで外にむかっていたらいいのに、ともったいなかった気がします。

 脇役も豪華で、映画監督役に山崎努、染谷将太、新井浩文、舞台の主宰役に三田佳子などなど、よくそろえたという感じ。そんななか、ひょうひょうと演技をする安田顕。昨年もあちこちの邦画で顔を見ましたが、横浜監督−安田主演だからこれだけの出演者がでてきたのでしょう。亀岡同様、多くの映画人に愛されているのだと感じました。
posted by 映画好きパパ at 06:21 | Comment(0) | TrackBack(3) | 2016年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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