レヴェナント 蘇えりし者

　レオナルド・ディカプリオが念願のオスカーをとった作品で、過酷な自然に体当たりしたのは敬意を表しますが、個人的には「リリーのすべて」のエディ・レッドメインの演技のほうが印象的だったなあ。

　作品情報　2015年アメリカ映画　監督：アレハンドロ・Ｇ・イニャリトゥ　出演：レオナルド・ディカプリオ、トム・ハーディ、ドーナル・グリーソン　上映時間：156分　評価★★★★（五段階）　観賞場所：ＴＯＨＯシネマズ日劇　2016年劇場鑑賞82本目



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　【ストーリー】
　1823年、アメリカ北西部の森林で狩猟の旅を続けている一行が、先住民のアリカラ族の襲撃を受けた。ガイドのグラス（レオナルド・ディカプリオ）、ヘンリー隊長（ドーナル・グリーソン）ら数人がかろうじて脱出に成功するが、逃亡の最中にグラスはクマに襲われひん死の重傷に。

　ヘンリーはグラスを同行させるのをあきらめ、グラスの息子で先住民との混血のホーク（フォレスト・グッドラッグ）、ホークの親友で最年少のブリジャー（ウィル・ポールター）、そして報奨金目当てのフィッツジェラルド（トム・ハーディ）の３人がグラスの看病に残る。しかし、グラスと仲の悪かったフィッツジェラルドは…

　【感想】
　予告編からみると、逃亡劇かと思っていたのですが、実際には、アメリカの過酷な自然におけるサバイバル劇が大半でした。吹雪の雪山で食べ物もなく、アリカラ族は娘を奪われた白人を追いかけ、グラスたちの一行に襲いかかります。なんで、グラスはここまでボロボロになりながらも生きているのかと、ただその生命力に驚嘆します。

　前作バードマンに続いて、アレハンドロ・Ｇ・イニャリトゥと撮影のエマニュエル・ルベツキは長回しで冒頭の先住民の襲撃シーンをはじめ、緊迫した画面を次々と流していきます。さらに、とにかく寒くて痛いシーンが延々とつづき、見ているだけでぐったりとします。

　ただ、グラスの幻覚で、若い頃に白人に殺された原住民の妻がふわふわ飛んでいるシーンは、ちょっと拍子抜けかも。また、極限状態だったらフィッツジェラルドの行動も、ある程度はやむを得ない部分もあり、単純な勧善懲悪の復讐劇にしなかったのは、賞とりにはいいかもしれませんけど、なんかもやもやしてしまいました。

　ディカプリオはクマに襲われたり、凍えそうな河のなかに潜ったり、生で動物の肉や魚をむさぼりくったり、現在の快適な我々からは想像もつかないサバイバルを繰り広げ。この時代のアメリカ西部に生まれなくてよかったとしみじみ。他の出演者にももりたてられ、これだけ苦労したからオスカーをもらえたのかもしれません。迫力有る自然はスクリーン向きなので、できれば大画面の映画館でどうぞ。