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作品情報 2015年日本映画 監督:小泉徳宏 出演:広瀬すず、野村周平、真剣佑 上映時間:102分 評価★★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズ新宿 2016年劇場鑑賞85本目
【ストーリー】
創部1年目にして東京都大会で優勝し、全国大会出場を決めた瑞沢高校競技かるた部。千早(広瀬すず)は太一(野村周平)とともに、転校したかつての仲間の新(真剣佑)に優勝の報告をするが、新がかるたを辞めると告白し、動揺を隠せない。
一方、全国大会の個人戦には、最年少でかるたクイーンとなった天才・若宮詩暢(松岡茉優)も出場することになった。千早は新と詩暢のことを意識するあまり、チームのことが見えなくなり、孤立していく…。
【感想】
上の句は青春・友情・勝利という王道的なストーリーを、競技カルタシーンなどスタイリッシュな演出と、フレッシュな出演者でもりあげる珠玉のような作品でした。下の句も楽しみにしており、初日の初回を見に行ったほど。期待にたがわず、上の句で成長したメンバーを受けて、さらに一段の極みを目指す勝負とはなにかということをテーマにしています。
孤高の天才・詩暢は、かるたに真剣に向き合うのは自分ひとりの力で、団体戦はお遊びに過ぎないといいきります。千早も当初は、自分の腕を過信して、周りのことを見失ってしまいましたが、太一をはじめとするかるた部のメンバーや、東京都大会のライバルだった須藤(清水尋也)によって、絆の大切さを取り戻してきます。
凡庸な作品だったら、チームの力を借りた千早が詩暢に圧勝するのでしょうが、この作品は単純には終わりません。詩暢も、そして新も何のためにかるたをしているのか、勝負とどう向き合うのか、千早との出会いでさらに高みをめざしていくのです。青春をすべて懸けてうちこむことのすばらしさというのが全編にわたってきらめいています。
脇役に見せ場があるのもいい。ムードメーカーのにくまん(矢本悠馬)、上の句で一番成長した机(森永悠希)、そして、和歌の意味をくみとることではだれよりも才能を発揮する奏(上白石萌音)。それぞれがチームとなって、物語を支えていきます。ちはやぶるの意味がこれほど美しいとはついぞしりませんでした。さらに、ツンデレを発揮したドSの須藤や、役名すらついていない吹奏楽部の一同などなど、それぞれがしっかりとキャラクターとして生きている。まだ若いのに小泉監督はたいしたものです。
撮影、美術、演出もすごく、スクリーンから目が離せませんでした。振り向いた千早の風にそよぐ髪の毛といった定番の演出もさることながら、新幹線が富士山の麓を走るシーンや、全国大会の会場となる近江神宮の社殿の様子など、単に風景をとっているだけで、日本の美しさを感じられる。もちろん、カルタのシーンも上の句同様、技法を凝らした撮影には迫力があり、これぞ映画の醍醐味と満喫しました。
主演陣は若いだけに、特に新役の真剣佑の台詞回しにたどたどしさもありましたが、それがかえって青春ぽくこの作品にはプラスに感じました。広瀬すずは代表作が早くもできましたね。そして、早くもベテランの風格の松岡をはじめ、國村隼がしっかりと締めてくれました。続編があるそうで、本当に楽しみです。
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