作品情報 2015年イタリア、フランス、スイス、イギリス映画 監督:パオロ・ソレンティーノ 出演:マイケル・ケイン、ハーヴェイ・カイテル、レイチェル・ワイズ 上映時間:124分 評価★★★(五段階) 観賞場所:シネルーブリ池袋 2016年劇場鑑賞89本目
ブログ村のランキングです。よかったらポチッと押してください

にほんブログ村
【ストーリー】
スイスアルプスの高級リゾートホテルで、引退した世界的な作曲家のフレッド(マイケル・ケイン)は優雅なバカンスを送っていた。幼なじみの映画監督ミック(ハーヴェイ・カイテル)も最後の作品の脚本執筆のためにホテルに滞在中で、仕事の合間にフレッドを訪ねては体力の衰えを語っていた。
のんびり過ごすフレッドのところにイギリス女王の使者が来訪。フレッドにフィリップ殿下の誕生コンサートで指揮をしてほしいと女王陛下が望んでいると伝える。だが、フレッドはかたくなに拒む。一方、娘のレナ(レイチェル・ワイズ)も夫のジュリアン(エド・ストッパード)が若い愛人を作って出て行ったと駆け込んでくる。
【感想】
フレッドたちのメインシーンに、宿泊客や従業員の何でもないような日常のカットが差し込まれる不思議な作品。老いとは現実と白日夢を行ったり来たりしているようなことの象徴なのでしょうか。そして、単に過去にとらわれるのでなく、それが現在にも通じているということも、皮肉な口調で表しています。
どんなに富や栄誉があっても、老いというのは確実に訪れる。また、老人は過去の遺物として、現役世代からは敬されど遠ざけられる。一方、若さの象徴は肉体にも精神にも現れる。こんな対比がよくできています。引退して肥満体となった世界的なサッカー選手(IMDBでは、役名はマラドーナ)は、若いファンからサインは求められるけど、若い頃のようなプレーはもうできない。ミックも、長年の仕事上のパートナーで、世界的な女優のブレンダ(ジェーン・フォンダ)から、最近の作品はクズばかりとののしられ、過去の自分の名作に逃避してしまう。
逆に、ホテルを訪れたミスユニバース(マダリーナ・ゲネア)の見事なボディに、フレッドたちは「女神だ」と羨望の念を隠さない。そして、フレッドとホテルで知り合う若手スターのジミー(ポール・ダノ)のエピソードや、レナが初めて知る父親の愛情など、若い世代は確実に成長していく。
しかし、老人だから終わりという訳ではありません。ラストは対照的なエピソードが2つありますが、グランドフィナーレという邦題にふさわしく、年を取ってもYOUTHを失わないことが必要かなとしみじみ感じました。
【2016年に見た映画の最新記事】