作品情報 2016年日本映画 監督:瀬々敬久 出演:佐藤浩市、夏川結衣、永瀬正敏 上映時間:121分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズ川崎 2016年劇場鑑賞95本目
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【ストーリー】
わずか7日間しかなかった昭和64年に起きた少女誘拐殺人事件。事件は未解決のまま、県警では「ロクヨン」という名前で呼ばれていた。14年後、時効まで1年とせまるなか、当時、捜査一課で事件を担当した県警広報官の三上(佐藤浩市)は、警察庁長官が現場視察をして、遺族の雨宮(永瀬正敏)と面会する準備を命じられる。だが、事件で警察に不信感を抱いている雨宮は面会を拒否する。
一方、重傷事故の当事者を匿名にしたことで、県警の記者クラブと県警広報は対立を深めていた。記者クラブ幹事の東洋新聞の秋川(瑛太)は、匿名を続けた場合、警察庁長官の取材を全社でボイコットすると通告する。広報係長の諏訪(綾野剛)や広報室員の三雲(栄倉奈々)の努力もむなしく、三上はつき上げられる。さらに、三上の一人娘あゆみ(芳根京子)が三上と衝突した上、家出をして、妻の美那子(夏川結衣)は精神的におかしくなっていた。そんななか、三上はロクヨン捜査を巡り、県警が不可解な動きをしていたことをつかむ。
【感想】
ロクヨンの事件、記者クラブとの対立、家庭の問題と3つの問題が同時に三上に起こりますが、佐藤浩市ならお茶の子さいさいで解決できそうですし、あゆみが父親の顔が嫌いというのだけど、佐藤浩市の顔で生まれたかったという男性は日本中に6000万人はいるでしょう。配役的にはNHK版のピエール瀧のほうが三上にあっているかな。
ただ、クライマックスの大演説をはじめ、全体的な演技は素晴らしいし、三浦友和、奥田瑛二、吉岡秀隆から、綾野、栄倉、窪田正孝ら、ベテランから若手まで有名どころをずらりと並べた共演者にも引きつけられます。原作やテレビをみていないと人間関係や県警と記者クラブの関係がわかりにくいかもしれませんが、最近の日本映画では数少ない重厚な内容に仕上がってます。
警察内部の腐敗や組織の軋轢というのは、横山秀夫お得意のもので、キャリアの上司の赤間警務部長(滝藤賢一)の、ノンキャリアを小馬鹿にする小役人的演技ははまりもの。ただ、赤間や荒木田刑事部長(奥田)もそうですし、秋川をはじめマスコミも、三上をいじめる悪役にしか見えないのが単調に。
そもそも、記者クラブの面々はあんなに偉そうなのは腹が立つけど、現実的かというと首を捻るし、広報官を県警内部の左遷ポスト的にえがいているけど、例えば本部長の定例会見をしきる広報官の顔を、本部長(椎名桔平)がろくに覚えていなかったり、刑事部長が刑事部内出入り禁止にするというのは、違和感を感じました。
何より、クライマックスの演説やエンディングの小田和正の歌で、感動を誘おうとしているのがありありと見えてしまい、ちょっとげんなりしました。こちらもNHK版のエンディングのほうが良かったかな。ともあれ、けなしましたけど、しっかりと作ってある作品だし、後編が楽しみなのも事実です。
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