2016年05月14日

64−ロクヨン−前編

 横山秀夫のベストセラーの映画化で、原作もNHKドラマもみています。映画版は超豪華キャストの演技は満足だけど、日本人好みの手堅い泣かせに走っているのはいまいちでした。後編は原作と変えているらしいので、ちょっと楽しみかも。

 作品情報 2016年日本映画 監督:瀬々敬久 出演:佐藤浩市、夏川結衣、永瀬正敏 上映時間:121分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズ川崎 2016年劇場鑑賞95本目





ブログ村のランキングです。よかったらポチッと押してください

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村


 【ストーリー】
 わずか7日間しかなかった昭和64年に起きた少女誘拐殺人事件。事件は未解決のまま、県警では「ロクヨン」という名前で呼ばれていた。14年後、時効まで1年とせまるなか、当時、捜査一課で事件を担当した県警広報官の三上(佐藤浩市)は、警察庁長官が現場視察をして、遺族の雨宮(永瀬正敏)と面会する準備を命じられる。だが、事件で警察に不信感を抱いている雨宮は面会を拒否する。

 一方、重傷事故の当事者を匿名にしたことで、県警の記者クラブと県警広報は対立を深めていた。記者クラブ幹事の東洋新聞の秋川(瑛太)は、匿名を続けた場合、警察庁長官の取材を全社でボイコットすると通告する。広報係長の諏訪(綾野剛)や広報室員の三雲(栄倉奈々)の努力もむなしく、三上はつき上げられる。さらに、三上の一人娘あゆみ(芳根京子)が三上と衝突した上、家出をして、妻の美那子(夏川結衣)は精神的におかしくなっていた。そんななか、三上はロクヨン捜査を巡り、県警が不可解な動きをしていたことをつかむ。

 【感想】
 ロクヨンの事件、記者クラブとの対立、家庭の問題と3つの問題が同時に三上に起こりますが、佐藤浩市ならお茶の子さいさいで解決できそうですし、あゆみが父親の顔が嫌いというのだけど、佐藤浩市の顔で生まれたかったという男性は日本中に6000万人はいるでしょう。配役的にはNHK版のピエール瀧のほうが三上にあっているかな。

 ただ、クライマックスの大演説をはじめ、全体的な演技は素晴らしいし、三浦友和、奥田瑛二、吉岡秀隆から、綾野、栄倉、窪田正孝ら、ベテランから若手まで有名どころをずらりと並べた共演者にも引きつけられます。原作やテレビをみていないと人間関係や県警と記者クラブの関係がわかりにくいかもしれませんが、最近の日本映画では数少ない重厚な内容に仕上がってます。

 警察内部の腐敗や組織の軋轢というのは、横山秀夫お得意のもので、キャリアの上司の赤間警務部長(滝藤賢一)の、ノンキャリアを小馬鹿にする小役人的演技ははまりもの。ただ、赤間や荒木田刑事部長(奥田)もそうですし、秋川をはじめマスコミも、三上をいじめる悪役にしか見えないのが単調に。

 そもそも、記者クラブの面々はあんなに偉そうなのは腹が立つけど、現実的かというと首を捻るし、広報官を県警内部の左遷ポスト的にえがいているけど、例えば本部長の定例会見をしきる広報官の顔を、本部長(椎名桔平)がろくに覚えていなかったり、刑事部長が刑事部内出入り禁止にするというのは、違和感を感じました。

 何より、クライマックスの演説やエンディングの小田和正の歌で、感動を誘おうとしているのがありありと見えてしまい、ちょっとげんなりしました。こちらもNHK版のエンディングのほうが良かったかな。ともあれ、けなしましたけど、しっかりと作ってある作品だし、後編が楽しみなのも事実です。
posted by 映画好きパパ at 06:18 | Comment(0) | TrackBack(15) | 2016年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック

映画『64−ロクヨン−前編』
Excerpt: 人物相関図(クリックで拡大) 原作は昨年読みまして、さらに昨年NHKのドラマでも放映されてましたが、 本当に面白い作品です。 映画版はやっぱり2時間くらいの長さでは収まらない..
Weblog: よくばりアンテナ
Tracked: 2016-05-14 06:20

64-ロクヨン-前編
Excerpt: 評価:★★★★【4点】(11) 警察内部の構造を知るうえで可なり為になる映画。
Weblog: 映画1ヵ月フリーパスポートもらうぞ〜
Tracked: 2016-05-14 19:44

64−ロクヨン−前編 ★★★★.5
Excerpt: 人気作家・横山秀夫の傑作ミステリー巨編を佐藤浩市をはじめとする実力派キャストの豪華共演で映画化したミステリー・ドラマ。監督は「ヘヴンズ ストーリー」「ストレイヤーズ・クロニクル」の瀬々敬久。 <感想..
Weblog: パピとママ映画のblog
Tracked: 2016-05-15 15:15

64 ロクヨン 前編
Excerpt: 横山秀夫のベストセラー小説『64』の映画化。 原作を読んだことがあるはずなんですが、ほぼ内容を忘れているので、実質初見と同等です(笑)。 いやぁ、少なくとも前編を見た限りでは、今年の邦画一番じゃな..
Weblog: 勝手に映画評
Tracked: 2016-05-15 19:50

64-ロクヨン-前編
Excerpt: 2016/05/07公開 日本 121分監督:瀬々敬久出演:佐藤浩市、綾野剛、榮倉奈々、夏川結衣、緒形直人、窪田正孝、坂口健太郎、瑛太、永瀬正敏、三浦友和 犯人は、まだ昭和にいる。 STORY:わ..
Weblog: ★yukarinの映画鑑賞ぷらす日記★
Tracked: 2016-05-16 13:53

「64(ロクヨン) 前編」
Excerpt: 後編が待ち切れない。こんな気持ちは久々だ。昭和最後の7日間に起こった少女誘拐殺人事件。通称「64(ロクヨン)」。時効まであとわずか一年に迫った平成14年、事件は大きく動き出す…。そうか、昭和64年って..
Weblog: ここなつ映画レビュー
Tracked: 2016-05-16 16:15

64-ロクヨン-前編  監督/瀬々 敬久
Excerpt: 【出演】  佐藤 浩市  綾野 剛  榮倉 奈々  瑛太 【ストーリー】 わずか7日で終わった昭和64年。その年に起きた少女誘拐殺人事件、“ロクヨン”から14年が経過し、未解決のまま時効が近づいてい..
Weblog: 西京極 紫の館
Tracked: 2016-05-18 23:14

日本の警察 その84 「64(ロクヨン) 前編」(2016 東宝=TBS)
Excerpt: その83「松谷警部と三ノ輪の鏡」はこちら。原作の、あの謎がすばらしかったのは、わずか7日間しか存在しなかった昭和64年の世相と分かちがたく結びついていたことだ。現代のわたしたちにとってすっかりおな..
Weblog: 事務職員へのこの1冊
Tracked: 2016-05-21 17:01

64 ロクヨン 前編
Excerpt:  『64 ロクヨン 前編』をTOHOシネマズ渋谷で見ました。 (1)以前、原作小説を読んでとても面白いと思い、なおかつ佐藤浩市が主演の作品ということで、映画館に行ってきました。  本作(注1)の冒..
Weblog: 映画的・絵画的・音楽的
Tracked: 2016-05-23 20:29

64−ロクヨン−前編
Excerpt: 昭和から平成に変わる直前、1週間しかなかった昭和64年に起きた、戦後唯一の未解決誘拐事件。 実際の事件が基になった、ということで凄く興味あった1本。 「半落ち」などの原作者・横山秀..
Weblog: 我想一個人映画美的女人blog
Tracked: 2016-05-25 00:28

64-ロクヨン-前編
Excerpt: 犯人は、まだ 昭和にいる。 上映時間 121分 原作 横山秀夫 脚本 瀬々敬久 久松真一 監督 瀬々敬久 出演 佐藤浩市/綾野剛/榮倉奈々/夏川結衣/緒形直人/窪田正孝/坂口健太郎/菅田俊/瑛太/吉..
Weblog: to Heart
Tracked: 2016-05-26 23:04

前編は事件より警察内部のドラマ
Excerpt: 8日のことですが、映画「64 -ロクヨン- 前編」を鑑賞しました。 わずか7日で終わった昭和64年 その年に起きた少女誘拐殺人事件、通称ロクヨンから14年が経過し 未解決のまま時効が近づく中 その..
Weblog: 笑う社会人の生活
Tracked: 2016-05-29 12:04

「64-ロクヨン-前編」 報道の役割とは
Excerpt: 例によって原作は未読ですが、横山秀夫さん原作の作品らしく骨太のドラマとなっていま
Weblog: はらやんの映画徒然草
Tracked: 2016-06-05 18:20

64-ロクヨン-前編/64-ロクヨン-後編
Excerpt: 【概略】 かつては刑事部の刑事、現在は警務部・広報官の三上義信は、常にマスコミからの外圧にさらされていた。そんな彼が、昭和64年に発生した未解決の少女誘拐殺人事件、通称「ロクヨン」に挑む。 サス..
Weblog: いやいやえん
Tracked: 2016-12-18 20:50

64-ロクヨン-前編
Excerpt: 監督:瀬々敬久 出演:佐藤浩市、綾野剛、榮倉奈々、夏川結衣、窪田正孝、金井勇太、筒井道隆、鶴田真由、赤井英和、菅田俊、小澤征悦、菅原大吉、坂口健太郎、宇野祥平、菜葉菜、嶋田久作、三浦誠己、黒川芽以、小..
Weblog: タケヤと愉快な仲間達
Tracked: 2017-01-09 06:02