作品情報 2015年アメリカ映画 監督・出演:マイケル・ムーア 上映時間:119分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズ川崎 2016年劇場鑑賞108本目
ブログ村のランキングです。よかったらポチッと押してください

にほんブログ村
【ストーリー】
ベトナム、イラク、アフガン。戦争で成果が上がらないアメリカは、マイケル・ムーアを侵略者に仕立てて、ヨーロッパから様々な良い制度や文化を略奪するように命じた。
さっそく、ヨーロッパ各国を回るムーアだが、年間8週間も有休があり、昼休みは2時間(イタリア)、小学校の給食はフルコース(フランス)、会社が終了後は上司が部下に連絡するのは禁止されている(ドイツ)など、アメリカでは考えられない非常識に目を白黒する。
【感想】
作品のなかでふれられているように、各国には欠点もあり、長所ばかりではありません。しかし、その長所の部分を取り入れることというのが、国際交流としては肝要でしょう。まず、イタリアの有休制度やドイツの就労制度ですが、大企業の幹部も積極的に歓迎しています。社員のストレスがたまらないことで、労働の成果があがるからです。
実際、これだけ休みをとっているイタリアですが、労働生産性は日本よりはるかに上。企業のほうからしても、残業代をとられたうえで生産性が上がらないよりも、よほど収益の効率がいいわけです。そして、社員の方は人生を有意義に楽しめる。
また、食育に力をいれるフランスや、宿題がないのに学力が世界トップのフィンランドをみると、教育とは何かを考えさせられます。フィンランドの教育担当者は、学校教育とは幸福な人生を送るすべを教えるもの、と断言します。従って、美術、音楽、詩といった人間の情操を豊かにするものに力を入れ、詰め込み教育をしません。これも、受験受験で追われる日本の子供からすれば天と地の差になります。
このほか、男女平等や平和教育など、ムーアはアメリカがいかにひどいかと比較していますが、日本人にこそ突きつけられている課題ではないでしょうか。アイスランドで金融危機が起きたとき、女性が頭取の銀行だけが生き残り、その理由を説明する場面がありますが、納得できました。
麻薬を解禁したポルトガルのように、僕からすると、そこまで礼賛する必要があるのかという国もでてきます。けれども、政治、経済、文化、教育さまざまな分野からヨーロッパの長所を取り上げる本作は、豊かさとはお金や出世でないということを教えてくれます。邦題に難ありですが、今の日本社会のおかしさも分からせてくれ、ぜひとも多くの人にみてもらいたい作品です。
【2016年に見た映画の最新記事】