作品情報 2016年アメリカ映画 監督:ジェフ・ジンバリスト、マイケル・ジンバリスト 出演:ケヴィン・ヂ・パウラ、ヴィンセント・ドノフリオ、ロドリゴ・サントロ 上映時間:107分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズ新宿 2016年劇場鑑賞159本目
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【ストーリー】
ブラジルのスラム街に育ったナシメント少年(レオナルド・リマ・カルヴァーリョ)は、貧しくて靴もサッカーボールも買えず、仲間達と洗濯物を丸めて作ったボールで遊んでいた。町の少年サッカー大会に出場した彼らは金持ちの少年たちからバカにされ、ナシメントがプロ選手の名前を間違えて「ペレ」と呼んだことから、ナシメント自身もペレと呼ばれるようになる。
最初は萎縮していたナシメントだが、元プロサッカー選手でけがをしたため掃除夫になった父(セウ・ジョルジ)からのアドバイスもあり、試合に負けはしたものの大活躍をする。プロチームからスカウトされたペレに、最初は不安から反対していた母(マリアナ・ヌネシュ)も応援するようになった。当時、ブラジルはワールドカップで惨敗し、新しい選手が求められていた。成長したペレ(ケヴィン・ヂ・パウラ)はわずか17歳で代表チームに抜てきされるが、スタンドプレーを敵視するフェオラ監督(ヴィンセント・ドノフリオ)ににらまれ…
【感想】
全編英語ですし、どこまで実話か分かりませんが、ペレが実際に貧しい家に生まれても、両親の愛情やスラム街のサッカーチームでの友情は、ウェルメイドでできています。サッカーでなければ、貧しい生活か犯罪者にしかなれない過酷なスラムを、自らの才能で抜け出す彼の姿、そして、そんな彼を応援する町の仲間達は、「あしたのジョー」のころから多くの人になじみやすいテーマでしょう。
また、いくら才能があっても、すんなりと世界のトップになれたわけではありません。金持ちの子供たちにバカにされて悔しい思いをした少年時代。チームメートはサッカースパイクを買うために盗みを働き、命を落とすという過酷な状況です。
プロに入っても、ワールドカップの惨敗から、個人プレーでなく、ヨーロッパのようなフォーメーション重視のスタイルが求められており、それはペレの持ち味を殺すものでした。何度も壁にぶつかりながらも、才能と、それ以上に血のにじむような努力で乗り越えていくペレの姿は、結果がどうなるとわかっていても応援したくなります。
そして、ワールドカップ本番。試合の勝ち負けにこだわるよりも、サッカーの楽しさをチームメートとともに味わい、サッカーの美しさをみせたいという思いが、伝説のゲームを作ります。ただ、試合シーンは工夫を凝らしていますが、全員ストップモーションになる場面はちょっと笑ってしまった。
ケヴィン・ヂ・パウラは演技未経験とは思えない、カリスマの片鱗をみせながらも、悩みもがき続ける青年期のペレを好演。彼の人柄、努力がいかに周りを巻き込むようになったかをよく理解できます。スラム街の子役たちも含めて、脇役も好演。さらに「ジンガ」というブラジルサッカーが強い秘密を、ブラジルの歴史も含めて分かりやすく説明しており、サッカーの知識があまりない僕にも楽しく見られました。
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