作品情報 2015年オーストラリア、アメリカ映画 監督:ジェームズ・ヴァンダービルト 出演:ケイト・ブランシェット、ロバート・レッドフォード、トファー・グレイス 上映時間:125分 評価★★★(五段階) 観賞場所:ららぽーと横浜 2016年劇場鑑賞182本目
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【ストーリー】
2004年の大統領選で、現職のブッシュ大統領は苦戦をしていた。CBSテレビのプロデューサー、メアリー・メイプス(ケイト・ブランシェット)は、ブッシュ大統領が若いころ、ベトナム戦争から逃れるため親の圧力をつかって徴兵逃れをして州兵の航空隊に採用されたという話をつかむ。
ただちにマイク(トファー・グレイス)ら取材チームを結成し、CBSの看板キャスター、ダン・ラザー(ロバート・レッドフォード)が司会を務める「60ミニッツ」でスクープとして報道する。だが、放送の翌日、証拠の書類が偽造だったという指摘がネットに上がった。世紀のスクープか、それとも誤報だったのか…
【感想】
ブッシュ大統領が軍歴を偽造していたならば、最高司令官としては明らかに失格です。ただ、そうした情報をテレビで流すのならば、完全に証拠をつかまないと揚げ足をとられるのに、メアリーたちは、うかうかとその罠にひっかかってしまいました。
メアリーは、証拠の正しさではなくて、軍歴が本当だったかが重要だと主張しますが、そもそも本当かどうかは、証拠がなければ単なるうわさ話になってしまうわけです。当時のことは僕も覚えていますが、ブロガーが文書は偽造であるという証拠をつきつけ、ネットが大手マスコミを倒すという恰好の例になりました。従来以上に、取材に正確さが求められるのに、メアリーたちはそれが分かっていなかったのですよね。国土が広いアメリカだからかもしれませんが、電話取材がメインで、ソースも不確かなのにあれだけのニュースを流すというのはちょっとお粗末でした。
しかも、メアリー目線なので、取材がいい加減ということにはほとんど触れられず、自分たちが被害者かのように描かれています。確かに、アメリカではテレビ局は大企業の傘下にあるし、ニュースよりも視聴率が良い=もうかるバラエティに力をいれるということも日本よりも進んでいるでしょう。でも、巨大な政府の陰謀にテレビ局も結託したという話ではないのに、どうしても政府批判派はそう思うのでしょうね。日本でも、政府の圧力がかかって政権批判ができないという意見が左派からでているけれど、朝日新聞やTBSを見る限り、どこの世界の話だと思ってしまいます。アメリカでもそれと一緒なんですね。
ロバート・レッドフォードをダン・ラザー役に起用したのは「大統領の陰謀」から半世紀近くたっても、まだ、巨大権力と戦うジャーナリストという役柄が似合うからでしょうね。ケイト・ブランシェットはさすがの迫力で、俳優陣の演技はよかったのですけど、いかんせん、物語の筋が弱かった。監督・脚本のジェームズ・ヴァンダービルトは、「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」などSF大作の脚本家ですから、社会派のテーマとはあわなかったのかもしれません。
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