2016年09月02日

イレブン・ミニッツ 

 ポーランドの巨匠、スコリモフスキ監督のある意味実験的なサスペンス。午後5時からの11分間、多彩な登場人物のさまざまな動きと、その一気に収束する様子を描いているのですが、ラストのカタルシスが今イチだったかも。

 作品情報 2016年ポーランド、アイルランド映画 監督:イエジー・スコリモフスキ 出演:リチャード・ドーマー、パウリナ・ハプコ、ヴォイチェフ・メツファルドフスキ 上映時間:81分 評価★★★(五段階) 観賞場所:ヒューマントラストシネマ有楽町 2016年劇場鑑賞186本目



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 【ストーリー】
 夕方の5時。町の中心にある高層ホテルのスイートルームではハリウッドから来た映画監督(リチャード・ドーマー)が、地元の女優(パウリナ・ハプコ)の個人面接をしていた。女優の新婚の夫(ヴォイチェフ・メツファルドフスキ)は、妻が変なことをされていないのか心配でならない。

 ホテルの前のホットドッグの屋台の主人(アンジェイ・ヒラ)は、5時に待ち合わせしたバイク便の男(ダヴィッド・オグロドニック)が遅れていることにいらだっていた。ホテルそばのアパートで産気づいた女性がいるとの通報で駆けつけた救急隊の医師(アンナ・マリア・ブチェク)は、予想もつかない事態に驚く。それぞれが日常を過ごす中、運命の午後5時11分が近づいていく…

 【感想】
 平凡な日常が11分後に突然変わってしまうと言うのは、欧米だと9.11テロとか思い出すのでしょうが、日本のような地震などの災害大国では、まあ、そういうのもよくあるんじゃないのと思ってしまい、公式サイトのうたう「前代未聞のラスト」というほどは驚きませんでした。というか、悲劇とみるならともかく、喜劇としてみればピタゴラスイッチとか、古くはドリフとかそういうのも日本にありましたしね。

 また、ラストに衝撃がまっている分、そこに至るまでの日常はありふれています。もちろん、不倫とか強盗とかそれなりのできごとはあるのですけれど、大勢の登場人物の行動を交通整理するのがやっとで、個々のエピソードにそれほど感銘は受けませんでした。このへん、上映時間が短いので飽きないというのと、長くしないと個々のエピソードを書き込めきれないのトレードオフなんでしょう。

 それでも、突然の非日常的なできごとで、人生が一変することはあるわけですし、ラストカットも非常に印象的なものなので、実験的な作品を作りたいという意欲はみているこちらにも伝わってきます。登場人物がとった行動が、別の登場人物を撮したカットで、違った意味にとれるというのも面白かった。

 それにしても、映画のオーディションの裏で、あんな露骨なセクハラは行われているのでしょうか。スコリモフスキ監督のハリウッドに対する偏見なのかも。
posted by 映画好きパパ at 17:40 | Comment(0) | TrackBack(7) | 2016年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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