2016年09月14日

planetarian〜星の人

 久々に映画館で涙がとまらない体験をしました。王道のストーリーですが、ピュアな存在には弱いという琴線に触れました。シン・ゴジラ→君の名は。→星の人と、今夏は邦画SF作品が10年に一度の大豊作といえそうです。未見の方はできるだけ前情報をいれずに映画館にいきましょう。

 作品情報 2016年日本映画(アニメ) 監督:津田尚克 声の出演:大木民夫、小野大輔、すずきけいこ 上映時間:117分 評価★★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズ川崎 2016年劇場鑑賞198本目



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 【ストーリー】
 核戦争後の荒廃した世界。空は汚染された放射能の雲と吹雪に覆われ、生き残ったわずかな人類は地下でひっそりと暮らしていた。そんな小さな居住区の3人の子供が、大人の目を盗んで外にでたとき、行き倒れの老人(声・大木民夫)を発見する。

 老人は黒く丸い機械をもっており、それは星空を映し出す映写機だという。星を見たこともない子供たちは、外の世界のことをいろいろ教えてもらう。老人はなぜ「星の人」になったのか。子供たちと話すうちに、老人は若い頃(小野大輔)、廃墟となった都市のプラネタリウムで出会った、ヒューマノイド型ロボット(すずきけいこ)とのことを思い出す。

 【感想】
 10年ほど前のゲームを皮切りにドラマCD、本、ウェブアニメなどマルチに展開しているそうですが、僕は初見。というか、たまたま時間があいていたので見たのですが、素晴らしい作品でした。逆に、他のシリーズの情報を知らないほうが、余韻に浸れると思います。

 老人となった星の人と、若かりし頃の彼の回想が交互に入る形になります。過去パートで、彼は無人の施設を徘徊するのは兵器ロボットだけという都市の廃墟で、命がけで食料などを奪おうとする屑屋でした。明日をも知れぬ人生で、何もかも希望を失っています。そんな彼が、平和な時代にデパートと呼ばれた建物の屋上にあるプラネタリウムに迷い込みます。

 プラネタリウムにいたのは、案内ロボットの星野夢見でした。美少女の形をして、AIで会話はできるものの、しょせんロボットに過ぎません。とっくに無人の町になったのに、年に数日稼働しているときは、平和のころと同様にプラネタリウムの呼び込み案内をして、客が入ってくるのを待ち続けます。ある意味人間の幼児と同様、周りの変化がまったくわからない美少女ロボット。最初はうざく感じていた屑屋も、プラネタリウムを見ようという気持ちになったのですが、人間がやってきたのは数十年ぶり。機械は故障していたのでした。

 数十年間、ひたすら人間を待ち続けた美少女ロボット。そして、数十年ぶりに訪れた、人間らしさを失った男。しかし、相手がロボットなのに、男は会話を続けるうちに、感情や人間らしさを取り戻していきます。話すこと、言葉がいかに重要か、そして、星をみたいという単純な願いでも、思いさえあれば生きていくことにつながることを教えてくれます。

 一方、現在パートも、子供たちは生まれたときから地下シェルターで暮らしており、外の世界を知らず、星もみたことすらありません。環境の変化をみても、人の数をみても、男の若い頃よりも、人類は絶滅に近づいている。そんななかだからこそ、子供たちの夢というのはわずかな希望につながるのです。狭いシェルターに閉じ込められた子供たちが、星の人と出会ったときどういう変化が起きるのか。閉塞状態に陥っている平成の子供たちにも通じるのではないかと思ってしまいました。

 ストーリーはキャラデザインも含めて、泣かせに走っているあざとさも感じられます。けれども、夢見や子供たちなどピュアな存在の大切さを実感し、そこで涙があふれるのならばいいのではないかなと思わせてくれます。また、廃墟の町の様子や、兵器ロボットとの戦闘シーンなどは、質の高い日本のアニメーションならではのすごさですし、何よりも星空の光景は見ているこちらの想像力を刺激してくれます。

 主演の大木民夫は88歳の大ベテラン声優で、この年で主役をはれるとはびっくり。すずきけいこも関西を中心に活躍しているそうで、僕は知らない声優でしたが、人気声優の小野との掛け合いがぴったりで、会話劇なのにあきさせませんでした。こういう隠れた名作があるから、アニメ映画鑑賞はやめられないのですよね。
posted by 映画好きパパ at 06:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | 2016年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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