作品情報 2016年日本映画(アニメ) 監督:山田尚子 声の出演:入野自由、早見沙織、悠木碧 上映時間:129分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズららぽーと横浜 2016年劇場鑑賞206本目
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【ストーリー】
小学校6年の石田将也(声・松岡茉優)のクラスに、耳の不自由な少女西宮硝子(早見沙織)が転校してきた。はじめは仲良くしていたクラスメイトだが、耳が聞こえないために失敗ばかりしている硝子に対して次第に冷たくなり、ガキ対象だった将也を中心にいじめが始まった。しかし、それが原因で硝子は転校するはめに。こんどは障害者をいじめたということで、将也がいじめの対象になった。
高校になっても将也(入野自由)はそのときの傷をもったままで、だれとも心を開かなくなっていた。そして、自殺することを決意し、最後に硝子に謝りにいこうと決意する。だが、硝子はそんな彼のことを友達として受け入れるのだった…
【感想】
いじめたほうが、いじめられる立場に回ってはじめて人の痛みが分かる。非常にきれいな構図なんですけど、これって硝子が美人で聖人のような子供だから受け入れられるのであって、いくら謝罪したって失われた時間は戻ってこないし、いじめた本人の自己満足にしかすぎません。
作品では将也の心情を丁寧に描くことで、そういった突っ込みに対してのある程度の答えはみせています。しかし、ある意味将也よりもひどい傍観者達に対しては、その心情を描く時間もないのに、あっさり救いを見せているのががっかり。反省すれば何をしても許されるのかよ、という気すらしてきます。まあ、一番クソだったのは小学校の教師だったのですが、そいつに天誅がおきれば、みているこちらもすっきりしたのに…
また、周囲も将也に対して分かりやすく手をさしのべすぎ。世界は悪くないといいたいのかもしれないけど、これも彼がイケメンだからでしょうかね。そうしたなか、脇役でいきいきとしていたのは、硝子の妹の結絃(悠木碧)と、いじめっ子で改心しない植野直花(金子有希)でした。結絃については障害者の姉を持つ困難さと、それが彼女の成長にどんな影響を与えたかがよくわかります。また、直花は弱さを観客に分かってもらいつつ、自分を曲げないというおいしいポジション。まあ、このあたりも美少女だから許されるわけであって、ブスだったら目もあてられないのですが、しょせんはアニメですからね。
美少女を描くことに定評のある京都アニメーションの制作なので、女の子たちはみな見目麗しく、目の保養になりました。また、岐阜県大垣市をモデルとした町並みや自然も丁寧だし、心を閉ざした将也が、他人の顔に×の絆創膏がついているように見えるという表現も分かりやすい。大人が見ても楽しいけど、子供の教育になる作品のような気がします。
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