作品情報 2016年日本、フランス、ベルギー映画 監督:マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット 上映時間:81分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズららぽーと横浜 2016年劇場鑑賞212本目
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【ストーリー】
船が難破して、男が無人島に流れ着いた。なんとかサバイバル生活を送りながら、イカダを作って島を脱出しようとする。だが、巨大な赤いウミガメが現れ、男の脱出を阻止する。
失意の男の前に、突然、女が現れる。二人は無人島でともに暮らしていくことにしていく。
【感想】
孤独と出会い、夫婦の愛と家族の誕生、そして別れ。人間の生涯を非常にファンタジックに描いています。ジブリ制作で、高畑勲がアーティスティックプロデューサーになっているとはいえ、完全にヨーロッパの香り漂う、愛と人生を乾いた目で、でも温かく見守っている作品です。
タイトルとなっているカメはもちろん、浜辺を遊んでいるカニや海の中を泳ぐ魚たちなどのリアルで生き生きとした描写は、それだけでも、スクリーンで見る価値があるというもの。また、セリフがないとはいえ、水中の狭い穴に挟まれそうになったり、津波に襲われたりと、結構、波瀾万丈な体験をしており、時間が短いこともあってあきません。
また、セリフがないことで、男と女はどうして恋に陥り、家族となって、どんな生活を送ったのかというのを、観客の想像力にゆだねているのも大人の映画っぽい。観客それぞれの人生観が反映されるでしょう。僕は、言葉がなくても、人間は家族になれるもの、というのはひどく新鮮な気がしました。
とはいえ、カンヌの「ある視点」部門特別賞を受賞したのも納得の、先鋭的な描写なので、観客をすごく選ぶ作品であることも事実。ジブリということで、親子連れでみにいったら、子供は退屈するでしょうね。マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督の前作「岸辺のふたり」が好きだったら、本作もたっぷり楽しめると思います。
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